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プライベート・パーツのGreenTのレビュー・感想・評価

プライベート・パーツ(1997年製作の映画)
3.5
アメリカの有名なラジオ・ディスクジョッキー、ハワード・スターンの自伝的コメディ映画です。

ハワード・スターンは長髪・サングラスでジョーイ・ラモーンにソックリで、MTVに「ファートマン(おなら男)」として出演したりしているので、この映画ではオジーやスラッシュや、たくさんのミュージシャンがカメオ出演しているし、ロック・ラジオのDJだったので劇中ではヴァン・ヘイレンの初期の曲がかかったり、AC/DCはライブを披露していたり、70~80年代のロック・ファンは楽しめる映画ではないでしょうか?

ストーリーは、小さい時からディスクジョッキーになりたかったハワードが、色んな都市のラジオ局をDJとして転々とし、最後ニューヨークのWNBCでナンバーワンになるまでが語られています。ハワードは、ありとあらゆる「放送コード」を破り、その過激さが人気だったのですが、私生活では奥さんにメロメロで、プライベートな話をラジオでしてしまうことから奥さんと揉めたり、タイトルの『プライベート・パーツ』は「陰部・恥部」という意味と「ハワードのプライベートな話」とかけてあるんだと思います。

劇中ではハワードの番組の下ネタばかり取り上げていますが、私が今でも忘れないのは、ハワードが白人至上主義団体、クー・クラックス・クラン(KKK)のメンバーに電話インタビューした回です。「好きな映画は?」と訊くとKKKの人は「天使にラブソングを!」と答え、ハワードは「ウーピーは黒人じゃないか!?」ってツッコむと「うーん、いいんだ、あの人は。面白いから!」って答えたのがめっちゃ爆笑したことです。

ハワードはこういう、なんていうか、相手のガードを下げるのが上手い人で、名インタビュアーなんですね。なのでゲストとして呼ばれたたくさんの有名人が、他では絶対言わなかったような話をするんですが、レディ・ガガが、デビュー当時音楽プロデューサーにレイプされていたことを告白したのも、ハワード・スターンの番組だったんですよね。

劇中で、ボストン大学在学中に奥さんのアリソンと出逢って、彼女をフィーチャーした不思議な映画を撮る話があるんですが、ウィキによるとそれは超越瞑想の映画で、超越瞑想ってデヴィッド・リンチが実践している瞑想なんですよね。ハワード・スターンも実践しているとは知りませんでした。

私はハワード・スターン好きなんですけど、この映画の原作である自叙伝が出版された1990年代中盤当たりはかなり天狗になっていて、自称『メディアの帝王』と名乗ったりしていてちょっと鼻につく感じだったのですが、この頃、ニューヨーク州知事に立候補して、なんとその時の対抗馬が現ニューヨーク州知事、アンドリュー・クオモのお父さんのマリオ・クオモだとウィキで読んでビックリしました。

映画ではハワードと彼のアシスタントとして人気のロビン、主要スタッフのフレッドは本人たちが演じていて、ヘタクソではないけど役者じゃないので限界あるなあ~とは思うのですが、それでもこの映画なかなか面白かったので、ストリーミングに上がって来た時、「あ、観たい」と思いました。ポール・ジアマッティとアリソン・ジェネイが演じるラジオ局の意地悪上司はなかなか良くって、特にポール・ジアマッティは必見です!

ハワードは去年3冊目の自伝を出版したようで、それでまたこの映画が注目されているのかもしれません。ハワードは、地上波では面白いことができないと、2000年代の中盤にサテライト・ラジオに移っちゃったんですけど、そこでも大成功しているらしいです。レディ・ガガの告白もこのサテライト・ラジオだったんですけど、ゲスト出演者のビデオもあって、ユーチューブで見れました。今、まだあるかわからないけど、他にもシャーリーズ・セロンが無名時代とあるプロデューサーにセクハラされるところだった話とか、ありとあらゆるゲストが出ています。ヒラリー・クリントンやドナルド・トランプにもインタヴューしていて、トランプは政治的には賛成しないけど友達なんだって。

この映画では奥さん大好き!なのが微笑ましかったのですが、結局離婚してしまったときには人生の悲哀を感じましたなあ~。仕事のパートナー、ロビンとは今でも一緒に仕事しているのにね。
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