回想シーンでご飯3杯いける

スープ〜生まれ変わりの物語〜の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

2.2
生瀬勝久さんは、かつて槍魔栗三助(やりまくり さんすけ)というお下劣な芸名で関西の劇団ブームを牽引した人。「現代用語の基礎体力」等、彼がレギュラー出演していた'90年前後のコント系深夜番組は、当時青春を過ごした関西人のDNAにしっかりと組み込まれているのであります。

そんな生瀬さんも今では名脇役として全国ネットのドラマで大活躍。しかし一方で、映画の世界ではそれらドラマの劇場版等で見かける程度。劇場作品で主演を務める物となると、この「スープ」が唯一の作品になるのだそう。そして、今回ようやく鑑賞する事が出来た。

「生まれ変わり」をテーマにした物語で、生瀬氏は中学生の娘を持つ、しがないサラリーマン役。流暢な標準語で話す演技は、現在の彼のデフォであるものの、若干の寂しさも、、、。

しかし、冒頭20分辺りで、かつて同じ劇団「そとばこまち」に在籍していた”みやなおこ"が登場! 更に物語が進むと、同じく関西の劇団員で「現代用語の基礎体力」でも共演していた古田新太、羽野晶紀も出てきた! しかも関西弁やん! 何これ? 関西劇団出身者の同窓会映画ですか?! いや、貶しているのではなく、この4人が同じ映画で出揃うって本当に嬉しい。ちなみに羽野晶紀は特別出演扱いになっているので、これって明らかに製作側の意図による特別な計らいなのだと思う。

ところで、映画本編の方なんだけど、原作となっているノンフィクション作品「生まれ変わりの村」自体が、未読ではあるものの、若干の胡散臭さもあり、特に前半はそれが画面にも表れてしまっているように思えるのが残念なポイント。

生瀬氏が生まれ変わって今時のイケメン俳優にチェンジする後半の方が、ファンタジー・ドラマとして秀逸だったのは、僕にとって皮肉な結果だったけど、前半の胡散臭さが気にならない人には、十分楽しめる作品だと思う。