dita

風たちの午後のditaのレビュー・感想・評価

風たちの午後(1980年製作の映画)
4.5
@シネ・ヌーヴォ   

ぽたぽた落ちる水滴はあなたの心臓の音、降り続く雨はわたしの涙。トイレに吐き出すあなたへの愛は汚水にまみれて消えてゆく。愛にまみれた汚水を覆うマンホールをくるりと回り、わたしは再び愛を取り戻す。

あなたに触れてほしくて、あなたのものになりたくて、わたしの一部をあげたのに、わたしの思いはあなたに届かず、わたしの一部はあなた以外の手に渡る。世界はぐるぐる回り続け、わたしはくるくる回り続ける。回った先に新しい世界を期待しながら。回った先の変わらない世界に失望しながら。

あなたとの永遠を手に入れるためなら、わたしの一瞬なんて捨てても構わない。痛みと引き換えに宿した命は、わたしの中で膨らみ続け、その泣き声が、わたしの愛が、いつかあなたに届けばいい。薔薇は枯れてもわたしの愛とわたしの命はあなたの部屋で永遠に咲き続ける。愛がなんだ。わたしの愛は、わたしのものだ。
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