風たちの午後の作品情報・感想・評価 - 5ページ目

風たちの午後1980年製作の映画)

製作国:

上映時間:105分

3.9

あらすじ

「風たちの午後」に投稿された感想・評価

会話の音量が小さいため、映画は親密さが強調される。部屋の明かりが消えるのを外から眺めるシーンがよかった。
Naoya

Naoyaの感想・評価

2.3
共に暮らす2人の女性、美津と夏子。夏子は密かに美津に恋をしていたが、美津には恋人がいた。独り占めしたい一心で、ある行動に出る。ヒューマンドラマ作。同性愛を描いた物語。モノクロで、あえて人物の音声を絞った(小さい)音は、より物語に集中させ、2人の物語を感じられるような要素で興味深い。より夏子の密かな愛を感じられ、お互いの絶妙な距離感に興味を抱かせる。展開としては穏やかに感じるが、内容としては男女のドロドロしたドラマもしっかり描かれます。この物語を、恋愛の形が閉鎖的とされた時代に制作されたことは印象的。人が人を好きになり、行動するさまがリアリティ込めて描かれてます。
カット一つ一つが残酷なまでに綺麗なので見てみてください

登場人物達が社会に全く溶け込んでいないので彼女たちだけの世界のように見えます
shibamike

shibamikeの感想・評価

3.5

このレビューはネタバレを含みます

片想いのお勉強。

誰かを好きになったことがありますか?
好きな人から拒まれたことがありますか?

柴三毛「若者とはかくあるべし。」
と本作観賞後、生きてんのか死んでんのかわからない夏子を思い出しながら吉祥寺で一人ごちた。


矢崎仁司監督伝説の処女作とのことで、監督のトークショー付きの回にて観賞。

まず初っぱなから面喰らう。台詞というか映画の音が全然聴こえない。自分は"劇場側のミスなんじゃないか?"と真剣に思った。ので、UPLINK吉祥寺を即座に憎んだ。が、聴こえにくいのが正しい作品とのこと。と知り、UPLINK吉祥寺に対する気持ちをニュートラルに戻した。
"聴こえにくい"という難所を辛抱して乗り越えると、ストーリーに入り込める。


二十歳くらいの娘二人が東京の狭いアパートに同居している。夏子と美津。夏子は保育士で美津は美容師。夏子は飯島直子似の丸っこい系可愛い女子で、美津はUA似のピリッと系綺麗女子。

二人は仲良しなのであるが、上映開始後速攻で我々観客はあることに気付く。
我々観客「夏子の美津に対する"好き"は友情のソレじゃねえ!」
夏子(飯島直子似)はガチで美津(UA似)が好きなのであった。
LOVE。
だのに、美津はノンケで普通に男の恋人の英男(チャラい)がいる。
で、この映画、レズビアンとか百合とかLGBTといった話ではなく、「行き過ぎた愛のストーリー」という古今東西どの人間にも多かれ少なかれついて回る話のように見えた。

美津を好き過ぎる夏子は美津の彼氏であるチャラい英男を疎ましく思うようになり、とんでもない交渉を英男に持ち掛ける。
夏子「一回ヤらせてあげるから美津と別れて。」
手当たり次第ナオンに手を出す英男は「うっす」かなんか言って、夏子をあっさり喰べちゃう。英男に喰われて呆然とたそがれる夏子。夏子は処女だったのであるが、シーツに染みた自分の血でシーツに「ミツ」と書く。
とりあえず、竿姉妹にはなった。

後日、英男がこのことを美津に喋ってしまい、美津は驚くというかビビるというか戦慄する。戦美津したのである。
美津は夏子と同居することもすぐにやめ、二人は別々に暮らすことに。

別々に暮らすようになってから、夏子は美津に対してド級のストーカーになってしまう。見ようによっては夏子の愛は1人よがりながら純度100%の透き通るほどのラブとも言える。
自分が「ウギャー!」と引いたのは、美津が家の生ゴミを捨てた際に、電柱に隠れていた夏子がそのゴミ袋を持ち帰って、自分の部屋で生ゴミをぶちまける。夏子は散乱する生ゴミの上に寝転んでひしとそれらをさも愛しげに抱きしめ、生ゴミのリンゴをかじるのであるが、自分も戦美津した。

失恋のハーバード大学主席卒業である自分としては、やはり想われる美津よりも想い続ける夏子に感情移入してしまう。夏子は美津から拒絶されたあとも毎日毎分毎秒美津のことを考えて生活を営む。一方の美津はというと、美容師の仕事をやめて夜のクラブで働き出し、金持ちそうな男性とバンバンデートしたり、どんどん新しい生活に踏み出して行く。
失恋の同業者として夏子に残酷なことを言いたいのであるが、
柴三毛「美津はもう君のことを日常で1秒たりとも思い出していないぜ。」
と言ってやって、二人でわんわん泣きたい。
夏子はそんなことわかっていたのかも知れない。それでも美津を想い続ける。

ラストは結構気障な感じで感動はしなかったけれど、監督が24歳で作った作品と思うと凄いラストである。
アメリカではオーソン・ウェルズが25歳で「市民ケーン」を作ったかも知れないが、日本では矢崎監督が24歳で「風たちの午後」を作った。とひっそり威張ろうではありませんか。
「アメリカにはエルヴィス・プレスリーがいたかも知れないが、日本にはキャロルがいたぜ!」とギターウルフのセイジも言っていたし。

上映後、監督を迎えてのトークショーにて、監督が「私は古い映画は無くなっても構わないと思っている。それよりも新しい映画がどんどん作られるべきだと思う。」的なことを言っていたのが印象的だった。

風三毛 心の一句
「風たちの 午後吹き抜ける PARCOかな」
(季語:PARCO→おしゃれ→紅葉→秋)
うみ

うみの感想・評価

5.0
3/25
異性に恋をするのより、ずっと透明な思い。あの2人の部屋で2人で生活していくことが夏子の幸せで、夏子の愛のかたち。そんな透明な思いも、女が女を愛するというタブーさだけで社会に受け入れてもらえない。
風は目に見えないというようなことが、最初に述べられていたが、夏子も風のように透明で、見えない世界の悲しい存在。衝撃のラストはある日の午後に起こるが、死や事件に至ってから見えない者たちの存在が初めて認知される。だから"風たちの午後"なのかなと考えた。
もし、設定が現代なら、夏子は次の恋に向かうことができたのではないかと思う。同性愛もそれなりに受け入れられている社会になっているから。しかし、あの時代では、自分ですら同性愛者という現実を受け入れられてないと思う。失恋した時に女の人が思う、他にも男はいる、と同じように他にも女の子はいる、だなんて思えないと思う。まさしく最初で最後の恋で、これ以上人を愛することは考えられなかったのだと思う。

女の子どうしの密やかな楽しい会話が音で表現されていた。会話の内容が重要なのではなく、あの独特の空気と音が女の子どうしの会話なのだなと気付かされた。

こんなに悲しい映画は初めてだった。感動するような泣ける映画なんて作り物くさいなと改めて思った。本当に悲しいことは、とても痛くて救われなくてどうしようもなくて、観賞後、世界が冷たかった。私はどうすればいいのだろう?と問い続けたが何も答えは出ない。

誰を愛するのかは自由だ、しかし相手に愛を受け入れてもらえるかは分からないのが、この世界のどうしようもなさだ。思いが真っ直ぐで透明でも、愛してもらえるわけじゃない。じゃあ私達にできることは?誰かを愛する人を馬鹿にしない。性別なんてなんでもいい、あなた1人の人間性を愛しているのだから。
にょろ

にょろの感想・評価

3.8
杉林恭雄さん(qujila)のおすすめ。若い頃に観てたらもっと何かこう危なかったかも。
82 2019/3/13 K's cinema
囁くような音量の会話に集中して耳を傾けていると、私生活を覗き見ているような不思議な気持ちになる
ため息が出るほど美しいカットが散りばめられていた
なんだか今もマンホールの周りをぐるりと廻っている気分

このレビューはネタバレを含みます

主演の綾せつこさんが後半、歯磨きをシャカシャカさせながら自宅アパートを去っていくところで幕を閉じるのかと思いきや、その後一転してストーカー劇みたいになる構成が誠にユニーク。🌹

本作、友人と某ミニシアター(地下)で鑑賞したのだが観客が中高年男性ばかりで何ともアングラな雰囲気を醸し出していた。😂

80年の映画にも関わらず所々に「現代的感覚」が散りばめられており相当ハイブロー。所謂レズビアンを描いた映画というよりも「恋い焦がれること」の大切さを強調したラジカルな内容になっている。演出的には初期の若松孝二やジム・ジャームッシュの諸作品を彷彿とさせる。冒頭と最後だけがパートカラーという点も実に巧妙。🤔

また蛇口から滴り落ちる水滴や雨などの「水」の描写が圧倒的。以前は矢崎仁司監督にはそこまで思い入れが無かったが、本作を観てやっとこの監督の真髄を見た気がする。代表作「三月のライオン」は未見だが要チェックすべき映画作家である。平成の終わりに本作を観れてホッとした。🎬

共同脚本に長崎俊一監督。この人も自主制作時代に傑作が多いと聞くが、今にして思うとスタッフ陣がやたらと豪華。

このレビューはネタバレを含みます

作品後半では、夏子の子どもが「母親の自分勝手で子どもがかわいそう」などと言われることがありませんように。そういう世の中が無くなりますように。と願いながら鑑賞した。
「夏子と子」のようなパターンの家族が、後ろ指差されたり、差別されたり、貧困に喘いだりしない社会が良い社会であるのは間違いがない。

夏子と子のその先を見たいと思うのは私だけであろうか? 想像するに、二人の生活は非常に苦しいものになるであろう。その時、私たち(社会)が問われるものは? 英男の責任は?

家族の問題は是枝裕和監督の十八番なんて言わずに、矢崎監督にきちんと描いてもらいたい。

それが、夏子というキャラクターを世に生んだ責任とも言えるのでは?

恋愛だけじゃ物足りない。
セリフがよく聞き取れない。最初はそれが気になったけど、そのうち、だいたい聞けたらいいような感覚になった。近所で遊ぶ子どもたちの声とか、蛇口から垂れる水滴の音とか、そういうのはよく聞こえる。上映当時の設計とは違うのかもしれないけど、これはこれで不思議な効果を生んだ気がする。

見ている間ずっと、さみしい気分だった。夏子の片思いがあまりに鮮烈で、知らず知らず夏子側に立って見ていたんだと思う。好きな人に好きになってもらえないってありふれた絶望だけど、乗り越えるのはまあ難しい。夏子のアイドル顔と過激な行動のギャップが、ちょっと怖くて、その何倍も悲しかった。

美津は気さくで誰にでも優しくて、オシャレでタバコを吸う姿もさまになって、いかにもモテそう。一度この人をいいなと思ったら、いいところがざくざく出てきて、何度会ってもときめく瞬間がある。そういう引力のある人なんだろうと思う。これは嫌いになれない。というか、好きではなくなれない。夏子もかわいそうに。

夏子役の綾せつこさんは検索しても他の作品が出てこないし、美津役の伊藤奈穂美さんは日活ロマンポルノが1本出てくるだけ。惜しい。40年も経って勝手に惜しむなよって話だけど。そういえばエンドロールに内藤剛志さんの名前も出てきた。どこにいたのかはわからなかった。