デニロ

いつも2人でのデニロのレビュー・感想・評価

いつも2人で(1967年製作の映画)
3.5
1967年製作公開。原作脚色フレデリック・ラファエル。監督スタンリー・ドーネン。オードリー・ヘップバーンのハリウッド生活最後の作品。

いくつかの旅と夫婦生活を重ね合わせる作劇。一夜のアバンチュールやよろめき等を混ぜ合わせている。他人同士の交わりなんてこんなものだと思えば思えなくもないが、わたしは本作の作劇にリアリティは感じない。おとぎ話の迷路にでも入ったのではないかとそんな風に思う。いや、確かに恋愛などは気の迷いであることは確かなのだ。ふと気づくと、わたしは何でこんな者と一緒にいるのだろうと思ってしまう。落語の中の夫婦になってしまうのだ。そこからが現実世界の苦役が始まるのです。ああ、その辺りはうまく戯画化している。落語「子別れ」の夫婦は別れた後に縁あってよりを戻すのだが、それは子が鎹となっていた。いや、苦役は続くと思うけれど。

さて、「子別れ」では、子は鎹、って言いますからね、という夫婦の話を聞いて、だからおいらのことを玄翁でぶつって言ったんだ、と子が言ってさげるのだが、本作のパスポートはさげになるのだろうか。はて、苦役から逃げるにはこれが必要。

TOHOシネマズ日本橋 午前十時の映画祭12にて
デニロ

デニロ