たむ

SHOAH ショアのたむのレビュー・感想・評価

SHOAH ショア(1985年製作の映画)
4.8
「人間の言葉では私の恐怖は表現できない」とは、ワルシャワのゲットーでの蜂起に参加した戦士の言葉ですが、残念な事にこれができないことには、歴史は忘れられ、風化してしまいます。
例えば『夜と霧』のように実際の絶滅収容所の記録映像をまとめたものもありますが、本作は再現不可能性に立ち向かうため、多くの証言と現在の絶滅収容所等の風景でナチスによるユダヤ人絶滅描き出します。
恐ろしい事は、人類史上最悪の民族全滅がはるか未来にアーサー伝説やアトランティスのようになってしまうこと。
実際に起こったことは何世代にも及ぶ時間の中で、本当にあった事実であるか分からなくなってしまうかもしれない。
映画はそれをさせないように、今の現場も禍々しいほどの雰囲気が漂っている事を表現します。
クロード・ランズマン監督は時にマイケル・ムーア監督のような突撃取材や独善的なインタビューが必ずしも成功していないシーンもたまにあります。
それでも、それぞれの証言が忘れがたいメッセージがあり、生涯で一度は体験すべき、9時間半の映画です。
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