けーはち

ALI アリのけーはちのレビュー・感想・評価

ALI アリ(2001年製作の映画)
3.1
伝説的ボクサー、モハメド・アリの伝記映画。アリ入門編として最適ではあるが、エンタメとして微妙なのでアリを知らない人には奨めづらいという矛盾を抱えている。彼を知る人が「凄いね♡アリ♡」としたり顔をする映画となっている。

ただ単に強いボクサーというだけでなく、鈍重な男がガツガツと腕力任せに殴りあう'60年代のヘヴィ級ボクシングに「蝶のように舞い、蜂のように刺す」というフットワークによるアウトボクシングの概念を持ち込み、ラップのマイクバトル的な韻を踏むトラッシュ・トーク(試合前の罵詈雑言による口撃)で興行を盛り上げたり、マルコムXと交友を持って黒人公民権運動に関わったり、その最中にムスリムに改宗したり、ベトナム戦争の徴兵拒否による刑罰で全盛期のキャリアを捨てて法廷を戦い、その後に「キンシャサの奇跡」と呼ばれる奇跡の大勝利を遂げチャンピオンに返り咲くなどといった、いろいろな意味で語るべき、語りたいことの盛り沢山なボクサーである。

……といったことを全て詰め込みたい、主演ウィル・スミスか監督マイケル・マンの愛♡が強すぎたんであろう、彼のチャンピオンになってからの10年の逸話は、157分の長尺にして、それでもかなり詰め込みすぎ感があり、テーマの取捨選択も容易にできなくて話がアッチャコッチャ飛ぶし、エンタメとしては微妙でオススメしづらいのである。でも試合シーンの撮り方はいいし、製作者の愛は伝わる、愛は。アーリ! ボンバイエ!

ちなみにアントニオ猪木との異種格闘戦の件は本作では完全無視。元気ですかーッ‼︎