けーはち

ノー・マーシイ/非情の愛のけーはちのレビュー・感想・評価

ノー・マーシイ/非情の愛(1986年製作の映画)
3.0
相棒を殺られたシカゴの刑事(リチャード・ギア)が復讐のためニューオリンズへ。手がかりはボスの女(キム・ベイシンガー)。

アメリカで州を跨いだ捜査はFBIの管轄。地方刑事が縄張りを超え追走する事は許されない。しかめ面の主人公は『ビバリーヒルズ・コップ』の不機嫌バージョンとでも言う感じで、それを除くと特に変わり映えのないThe 80年代の典型的刑事スリラーに見える。

ただし、本作の場合、ヒロインを囲うマフィアのボスが、ヒロインと2人きりの時フランス語を喋るのが独特である。

北米南部の仏語圏=ケイジャン(Cajun:フレンチ・インディアン戦争で南部に追いやられた仏系移民。食文化も特徴的で、劇中ザリガニを食べるシーンがある)であるが、本作マフィアの主な仕事が不法移民の斡旋でボスは中南米系っぽい。

となると、ボスはヒロインのために、仏語を必死こいて覚えたんだろうな。悪党ながらも真摯な思いがその一面からほの見えるわけだが、同時にそうまでさせた女のファム・ファタールぶりが強く印象的。 13歳で母親に売られ、英語の文章が読めない描写もあり、キム・ベイシンガーの美しさもあいまって、説得力のある存在であった。