まーしー

ブラックホーク・ダウンのまーしーのレビュー・感想・評価

ブラックホーク・ダウン(2001年製作の映画)
3.5
1993年のソマリア内戦。アメリカ軍は、現地の民兵を統率するアイディード将軍の側近を捕らえる作戦を遂行するが、戦闘ヘリであるブラックホークが撃墜されてしまう。

リドリー・スコット監督によるドキュメンタリータッチの戦争映画。アメリカ軍のソマリア撤退に繋がったとされる、「モガディシュの戦闘」を描いているらしい。

この作品、とにかく戦闘シーンがすごい。
交差点のような場所に墜落したヘリコプター。
仲間の救出に向かうアメリカ兵と四方から現れるソマリア民兵。
舞う戦塵と激しい銃撃音、そして次々と銃弾に倒れる兵士たち。

そこに描かれているのは、戦争がもたらす非合理性だった。
アメリカ兵は仲間の救出のために撃墜されたヘリコプター近辺に向かうが、何人を救えるかは分からない。そして、実際にはソマリア民兵に急襲され、救出部隊にも多くの死者を出してしまう。

そう、合理的に考えたら、救出に向かう必要はなかったようにも思える軍事行動。劇中の「戦争中毒なのか?とよく言われる」というアメリカ兵の言葉が、客観的に見た評価だと思う。
しかし、実際は仲間のための行動であり、そこに合理性は必要ない。戦いたいから戦うのではなく、一人でも多くの仲間を助けるために戦っているのだ。たとえ、自分の身に危険が及ぶとしても――。
一種の壮大な勝負事である戦争に、こうした感情が伴っていることに驚きを隠せなかった。

良かったのは内容だけではない。本作の出演者も意外に豪華。ジョシュ・ハートネット、オーランド・ブルーム、ユアン・マクレガー、エリック・バナなど、後々のスターが顔を揃えている。しかし、戦塵で黒ずみ、顔の識別が困難なところがやや難点。

それでも2時間に及ぶ戦闘劇は迫力があり、色々と考えさせられる内容だった。
無理に感動を強いることもない、良い作品だった。さすがはリドリー・スコット監督。