回想シーンでご飯3杯いける

ブラックホーク・ダウンの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

ブラックホーク・ダウン(2001年製作の映画)
2.0
アメリカ軍によるソマリア内戦への介入を描いた実話小説を、リドリー・スコット監督により映画化。

演出は所謂「ダンケルク」系で、ドラマ性を排除し、ひたすら激しい戦闘シーンが続く。「トレインスポッティング」から5年後の公開で、同作品に出ていたユアン・マクレガーとユエン・ブレムナーが揃って出演しているので注目していたのだが、登場早々、彼等の顔は煤と血で染まり見分けが付かない状態に、、、、「ダンケルク」とは違い登場する兵士には名前が付いているものの、そんな感じで他の出演者も顔の判別が付かず、役名の意味を成していない。これは戦場のリアリティを再現する為の、意図的な演出なのだろう。

「ダンケルク」が"逃げる"物語であったのに対し、この「ブラックホーク・ダウン」はソマリアの民兵を"襲う"物語である点が大きな違いだ。故に、大国アメリカの軍事行動を賞賛するプロパガンダ映画にも見えてしまうし、監督を始めイギリスの人気俳優が多数参加している事に、何とも言えない収まりの悪さを感じるのも事実。

良くも悪くもリドリー・スコットの映画だと思うし、彼が作り出す映像と、それが生み出す緊迫感を堪能する映画なのだと思う。ドラマ性が殆ど無いのに、これだけ観る者を引きつける作品に仕上げてしまうのは、彼の映像に対する人並みはずれた美学と技術の賜物だろう。

本作で得られるカタルシスは、戦争映画のそれというより、最新の映像技術を取り入れた高難易度のシューティングゲームを、コンティニューしまくってクリアした時のそれに近いように感じる。