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ブラックホーク・ダウンのRのレビュー・感想・評価

ブラックホーク・ダウン(2001年製作の映画)
4.9
めちゃめちゃ面白い! 最初の30分は、ソマリアでの戦況や出撃計画の内容とかがややこしくて、おいおい、内容つかみにくいぞ、大丈夫か?と思ったけど、実戦シーンに突入してからはあっという間やった! ソマリアの最強部族が国連軍に宣戦布告し、国連兵を虐殺。部族の将軍であるアイディードを拉致するため、敵対地区にアメリカ軍が出撃。ほんの1時間程度の作戦だったものが、ブラックホークというヘリコプターがミサイル攻撃を受け墜落したことから、戦況が泥沼化していく。アメリカ軍は兵隊を一人も戦地に残してはならないことなっているため、墜落したヘリの中の死者も連れて帰らないといけない。よって、墜落場所に地上グループが向かっていくのだが、ソマリアの武装民間兵が予想を遥かに超えた数で、ひたすら攻撃してくる。しかも、米兵はその地区に住む民間人を攻撃してはならない一方、相手は御構い無しでガンガン撃ってくる。米兵はどんどん負傷、幾人も死者が出、どんどんソマリア人に囲まれて、不利な状況になっていく。一体この作戦はどのような形で終結するのか…ってのが描かれるんやけど、30分過ぎたあたりからひたすら苛烈な戦闘シーンで、途中、ほんの少しのイスラム教のお祈り時間を除いて、生死を賭けた銃撃戦が延々と繰り広げられる。見てるこっちも息つくヒマなし。始終銃声と爆音が鳴り響くすさまじくハードなバトル。時々、米兵側・敵側両方の悲劇的な瞬間を目撃するが、それらをセンチメンタルに受け止める暇は決して与えず、どんどん次へ次へと状況をつないでいく。この編集は見事としか言いようがないし、こんな凄まじいカオスを作り上げ、まとめ上げた監督の手腕の確かさに圧倒された。しかも、さすがリドリースコットな耽美的としか呼べないような、美しく詩的な瞬間が、激烈な銃撃シーンや、悲劇のどん底シーンにさえ存在しているのには嬉しい驚きを禁じ得なかった、とはいえ基本はリアリズムに徹した荒々しい映像の連なりやけどね。あと、ヒューマンドラマ要素を最小限にしたことで、戦争における個人のドラマではなく、ひとつの作戦の全体像をさまざまな視点から徹底的に見せていくことで、戦争系ゲームみたいにも感じられるのも面白い。エンドレスにソマリア人が走って来てはバンバン撃ち殺しまくる感じは、まじ射撃ゲーム的。けど、実際には、生きている現実の真裏に、負傷と死の可能性が、非情に、冷徹に、至るところに隈なく潜んでいる。この恐怖とこの覚悟。兵隊さんたちは、まさか世界の中心である自分が、呆気なく死ぬだなんて夢にも思わなかっただろう。その感覚がヒリヒリと伝わってくる。これ見たら一般の感覚で生きてる兵隊はみんな戦争行きたくなくなるんちゃうかな。ちゃんとヒロイックな瞬間も描いてはあるんやけどね。その代償として、命は見合うものなのか、それぞれが見て考えるべき問題だろう。ゴア描写としてはRPGブッスリがとても印象的でした。ひとつ難点を挙げるなら、人物が多すぎ&見た目が似てるからぜんぜん誰だか覚えれねー! けど、これもきっとテーマ上、故意の演出なのでしょう。個々の人物をもうちょい把握するためにも是非ともまた見たいっすねー!!! 個人的には、最高の戦争映画のひとつとなりました!
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