47都道府県に足を踏み入れた男

ブラックホーク・ダウンの47都道府県に足を踏み入れた男のレビュー・感想・評価

ブラックホーク・ダウン(2001年製作の映画)
4.5
良かった点
サクサク進むテンポの良さ。実話をもとにしたという重さ。戦闘シーンの多さと迫力の良さ。視聴者にまで伝わる緊張感。

悪かった点
敵側の考えを多少発信しているものの、やはり主張はアメリカ正義。

声を大にして言いたいことはこの映画はテレビで放映すべきではない。以前どこかのテレビ局が地上波で放映していたが、グロテスクなシーンのカット、敵側の主張を発信するシーンをカット、緊張感を無くすCM。どれもテレビで放映するうえでは必要なことであることは理解している。しかし、この映画は緊張感も敵の主張もグロテスクなシーンも欠かせない要素である。それをカットしてしまったら、もはや芯だけ残ったリンゴを食べるようなものだ。それならば、テレビで放映するべきではない。サブスクやレンタルで見たい人だけが見ればよい。

さて映画の内容であるが、この映画は私が初めてみた戦争映画であった。当時の衝撃は忘れない。私は戦闘シーンが好きだった。しかし、日本の映画や多くの洋画は長いキャラクター同士の会話があり、少量の戦闘シーンというものが多い。退屈極まりなかった。しかし、この映画はほぼすべてが戦闘で構成されている映画だ。解けない緊張感、仲間の戦死、悪化する戦況。完全に映画の中に引きずり込まれた。そして、見終わった後に残った感情は平凡な日常があってよかったという現実への安堵である。

 とはいえこれは10年近く前にレンタルで見た私の最初の印象である。現在2020年となると公開から20年近くたつ映画である。どんな名作でも時代が過ぎると若い人は見なくなる。戦前の映画など、映画オタクやレトロなものが好きな方は見るかもしれないが、普通に生活している若者に見せたところで映像が見にくいと一蹴されてしまうだろう。この映画も古い映画だ。戦争映画好きや映画好きにはお勧めだが、たまに見る程度の視聴者には映像が古く、陳腐な表現に辟易してしまうかもしれない。
 言えることは万人にはお勧めできない。しかし、映画が好きであれば、一度は見てほしい映画だ。私はこの映画をみて、映画の世界にはまっていった。