あーさん

ハロルドとモード/少年は虹を渡るのあーさんのレビュー・感想・評価

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Filmarksでは高評価、でもおばあちゃんと少年(青年?)のラブ・ストーリーなんて、あんまり観たいと思わないんだけど…。
そう思ってスルーしていた。

たまたま読んでいた"ライムスター宇多丸の映画カウンセリング"(あまり深くないけど、サクッと読めて面白い♪)という本の中で"何故かお年寄りが寄ってくる"という相談に処方されていたので、どれ、ひとつ観てみようかと。


いやぁ、、予想に反してものすごく良かった!!

どういうジャンルになるのだろう、、

恋愛×思春期×人生…

きっとどんな人が観ても、何かしらのものを残してくれる、、そんな作品だと思った。

母子家庭だが、無尽蔵にお金持ちの家に育ち、とある理由から学校に行かず家でブラブラしている19歳のハロルド(バッド・コート)。
彼は、美しくて何よりも世間体を気にする母親(ヴィヴィアン・ピックルズ)を驚かせる為に、狂言自殺をするのが日常となっていた。
そして、知らない人の葬儀に参加するという変わった趣味を持つ彼は、そこで同じ趣向で居合わせたモード(ルース・ゴードン)という79歳の老女と出会う。。

正直言うと、最初は"ツェッ!ツェッ!"と変な合図をしてくるし、車は平気で盗むし、、モードがヤバいおばあちゃんに見えて、全然気持ちが入っていかなかった。
ハロルドも何故自殺の真似事までして母親の気を引きたいのか、あまり語られない為、ただの気まぐれなお坊ちゃんなのかな?と思えてしまう。

のだが、、

だんだんその二人が近づいて仲良くなり、それぞれの背景がわかってくると、全く年齢差など気にならず、普通の恋愛映画のように楽しめてくるから不思議。。

そして、間に挟み込まれるハロルドと母親のすれ違いの関係。
(お嫁さん候補の女性達への嫌がらせはMr.ビーンのようで笑えるが…)

ハロルドが本当は何を求めているのか、わかるだけに切ない気持ちになる。。

ハロルドとモードのデートのシーンは、専らはちゃめちゃで、ぶっ飛んでいて、身も心も解放される!
かと思えば、優しくてロマンティックで、ほっこりする♪
"背が高くて気取らないからひまわりの花になりたい"というモードが可愛らしい。
ユニークなモードの家で、そしてドライブ先で繰り広げられる濃密な二人の時間。
コメディとシリアスを行ったり来たり。。

問わず語りで、何故こんなことをしているのかを泣きながら話すハロルドに、優しく寄り添うモード。

"モラルに縛られて人生を生きないで、
目標を持つことよ。
生きることから逃げないで、傷つくことを恐れちゃダメ。"

長い人生経験から出てくる深い言葉の数々に、生きる意欲を取り戻していくハロルド。彼にとってモードは、かけがえのない存在へとなっていくのだったが、、

そして、迎えたモードの80歳の誕生日、
その日は、二人にとって忘れられない日となる。。

もう、、そこからは号泣必至!
いつしかハロルド&モードのカップルをすっかり応援していたものだから、この展開は、、

でも、、
恋愛って、いつか終わるものだから。
終わっても、出会った時の思い出は決して消えたりしない。
消えないどころか、ずーーっと心の中に生き続けるものだから。。


ありがとう!モード。
ありがとう!ハロルド。


何度も、何度も観たくなる、
紛れもなく素晴らしい恋愛映画だった。
あーさん

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