スギノイチ

愛の陽炎のスギノイチのレビュー・感想・評価

愛の陽炎(1986年製作の映画)
3.0
ヒロインはクイーンオブたぬき顔の伊藤まい子。相手役は最初なだぎ武かと思ったが、若き日の萩原流行だった。
前半はイチャつくばかりのどうでもいい展開が続くが、中盤で萩原流行が女タラシのクソ男である事が判明する。
ちなみに浮気相手役は風祭ゆき。『セーラー服と機関銃』の時とほぼ同じ役である。
「このまま昼ドラ展開かな」と思いきや、祖母(当然の様に北林谷栄)が「そんな男は釘をぶちゃええ!」と言いだし、それを真に受けた伊藤まい子が丑の刻参りを始める、という予想外の展開に。

とにかく、伏線も何もない突然のオカルト展開にビビる。
序盤からオカルトトーンならまだしも、本編の3分の2まで全くそんなそぶりはなかったのだ。
VHSパッケージも、なるほど「刻参り」というワードを使わずに何とかキャッチコピーを謳いきっている。
(「ラブストリー」という表記が気になるが)

所詮ギャグなのか、それとも真剣に情念を描きたいのか、不明瞭なまま物語は続く。
恨みの儀式にも関わらず、きゃあきゃあ言いながら祖母と儀式の準備をしたり、蝋燭のかわりに電球を工作して頭に被ったりと、コメディチックに描かれている。
ちょっと狂っている。

三村晴彦の監督作を『天城越え』『彩り河』と観てきて、良くわからなくなってきた。
情緒的なシーンでは凄く心に残る良い画を撮ったかと思えば、他のシーンでは良く言えばケレン味、悪く言えばアホみたいな演出をしていたりする。
結構良いと思っていた『天城越え』でさえ逆算的に変な映画だったような気がしてきた。
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