巨匠 フリッツ・ラング監督作品
1920年代に、ドイツを震撼させた連続殺人鬼“デュッセルドルフの吸血鬼”と呼ばれたペーター・キュルテンをモチーフにした作品で、監督としては初めてのトーキー映画
サイコスリラーの原点であり、常時ハラハラドキドキできる無駄のないシーンの連続
冒頭に子供たちが歌う不気味な曲が不穏な影を残し、観終わってからもじわじわ引きずるような気持ち悪さ
犯人捜しに焦点が置かれている訳ではなく、進むにつれてぐんぐん加速する異様な緊張感
徐々に追い詰められていく犯人の心理と、民衆達の狂気じみた集団心理がとても上手に描かれている
光と影を効果的に使い、トーキー映画でありながらサイレント映画のような演出が散りばめられており、BGMが使われないことで不気味な口笛を強烈に印象付ける
スタイリッシュな“M”の見せ方も感心するほど素晴らしく、1931年の作品でも全く古くさい感じはない
少年法や責任能力を問うように、時代を超えてもなお普遍的なテーマで意表を突いてくるクライマックスは驚いた
何より殺人鬼を演じたピーター・ローレの鬼気迫る演技は圧巻で、トラウマになりそうなほど目を見開いた表情は頭から離れない…
〈 Rotten Tomatoes 🍅100% 🍿95% 〉
〈 IMDb 8.3 / Metascore - / Letterboxd 4.3 〉
2021 自宅鑑賞 No.141