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Mのabdmのレビュー・感想・評価

M(1931年製作の映画)
4.0
1930年代ドイツが舞台。その街は幼女ばかりが狙われた連続殺人事件が頻発していて子を持つ親達は日々怯えていた。
警察も全く手掛かりが得れない中、前の被害者と最後に会った盲目の風船売りのおじいちゃんはあの時と同じ"口笛"を聴き、それを吹いている奴こそ容疑者だ!と住民達に話す。
そこで一人の住民が手の平にチョークで「M」と書き偶然を装って犯人と思われる男の肩に印をつける。


今作で描かれるのはサイコキラーの怖さではなく、大衆の力による恐怖。
一人の人間は歴史に名を残すことができるが大衆の力は歴史そのものを大きく変えることができる。
容疑者の「M」を徐々に追い詰める住民達は軽々と法を犯し、法の下にあると謳いながら法に従わず犯人を自ら裁く。
バットマンが100人以上いるようなもん。
今作に関しては大衆の力による被害者はサイコキラーなので倫理観が問われる難しいところではあるが、一人の男に群がる大勢の人々の図を見ると一概に「やっちゃえ〜」とは言えない。

そしてこの映画の後に大衆によってヒトラーが選ばれた…。
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