ノッチ

プロムナイトのノッチのレビュー・感想・評価

プロムナイト(1980年製作の映画)
2.5
とある廃校で1人の幼い少女が、4人の友達と鬼ごっこの最中、彼らの度を越した追い込みにより殺害される。

それから数年後、そのことを秘密として誓い合った彼らは高校生となりプロムを迎えようとしていた。

一方、その事件の殺人現場付近にいたということで犯人とされ、精神病院送りとなっていた男が脱走。

惨劇が幕を開けようとしていた……。

80年代のスラッシャーブームに乗っかって製作された、カナダの記念日ホラー・シリーズの1作目。

子供のときに女の子を殺してしまった過去を持つ4人の若者たちが、プロムナイトの夜に1人ずつ惨殺されるという映画。 

「因果応報」なので、「不条理」な怖さはありません。

“往年の”という形容詞がピッタリなサスペンスホラーです。 

有名な出演者は、絶叫クィーンのジェイミー・リー・カーティスと、シリアス俳優時代のレスリー・ニールセンかな。

ジェイミー・リー・カーティスといえば、有名なのがオリジナル版『ハロウィン』シリーズのマイケル・マイヤーズの妹役ですね。

そんな彼女が主演した本作は、80年代に量産されたスプラッター作品群の中でもなかなか有名な作品。

本作品を『キャリー』の亜流と呼ぶ向きがあるようだが、似て異なるものであり、4人の若者が何者かによって次々と命を奪われ、「一体誰が、何のために?」を主眼に据えた作品となっている。

ストーリーとしてはまさに『ラストサマー』な感じ。

というか『ラストサマー』はこの作品を意識して作られたものでしょうね。

しかし、絶叫クィーンと呼ばれたジェイミー・リー・カーティスが出演しながら、衝撃度は薄かった。

最初の事件から次の犠牲者が出るまで約50分。

とにかく殺人までが長く、ダラダラした青春模様を延々と見せられる。

パートナーを誰にしようかとか、どうでもいい恋愛三角関係とか、プロムクイーンは誰かとか、ヒロインの恋敵がパーティー妨害を計画したりとか。

しかも、いざ惨劇が始まったと思っても、殺人鬼が弱すぎて妙に笑える。

また、とにかく画面が暗すぎで殺しのシーンもなんか中途半端。

もっと豪快に血しぶきが炸裂してもよかったんじゃないかな。

まぁスプラッターシーンはほとんどありませんのでニガテな人でも見れますよ。

また、何で6年も経ってからなんだ?とか、なぜプロムの日に殺人を決行しようとなったのかの描写がなく、今ひとつ臨場感に欠け説得力もない。

雰囲気はすごくいいのに、プロットの甘さや脚本の甘さが目に付いてしまいちょっと残念。

あと、この映画で一番興味深いのは、冒頭の廃校での一件を、ニック君以外の女子全員がすっからかんに忘れていて、後悔とか復讐への恐怖の描写がまったくないところ。 

監督は「女子がいかに薄情で残酷か」っていうのを伝えたいのかな?

狙われた4人が廃校での一件をその後も引きずっていたり、1人1人と殺されていく段階で次は自分かと怯えたりする描写があれば、多少なりとも恐怖が高まったのにと思う。

あと、ジェイミー・リー・カーティスがどう頑張っても女子高生には見えない。
ノッチ

ノッチ