伊達巻

オール・ザット・ジャズの伊達巻のネタバレレビュー・内容・結末

オール・ザット・ジャズ(1979年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

くそ泣いた。悲しい涙じゃなくて、あぁ、これで終わりなんだっていう感動の涙。感動の二文字じゃ現しきれない、死を受け入れることに対する感謝の気持ちが入り混じったような涙。構成自体は『8 1/2』みたいで、なんだけどこっちはより「死」に重きを置いてるイメージ。どちゃくそ重いテーマなのに主人公のキャラクターもあって最高に軽快で笑えたし、でもそんな中でやっぱり目立つのは主人公が自分の心の声と向き合わざるを得ない時間そのもので、それは葛藤であり、停滞であると同時に進展だった。人生の終わりへと進んでいく時の流れこそ感じさせないものの、周りの他人と愛する人に囲まれてゆっくりと揺れ動く空気の流れは感じとることができる。恋人と娘のダンスシーンなんか、あっしの走馬灯に出てくるんじゃないかってくらい良かった。妙に前衛的な演出が目立つように見えて根はめちゃくちゃ真面目で、「死だけが真実だ」なんて言い切れるほどなんだから僕は信用できる。死とは何か。この映画のあの圧巻すぎるラストシーンを見届け、既に死の恐怖を乗り越えたような感覚さえある。死は絶望でも救済でも逃避でもない。全てとの別れだ。素晴らしかった。オールタイムベスト
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