ホイットモア大統領

オール・ザット・ジャズのホイットモア大統領のレビュー・感想・評価

オール・ザット・ジャズ(1979年製作の映画)
4.2
2018/5/26 シネプレックスつくばにて午前十時の映画祭9で鑑賞。

「すごい映画を観た…。」

鑑賞後の第一声がこれ。
前知識なしで観たので、あまりの衝撃にどっと疲れ、中々席を立てなかった。
(何なら本作のレビュー書くにあたって、上手い説明が思いつかず4,5日が経過。)

この"すごい"というのは、ストーリーや伏線回収の巧みさとかではなく、
ロイ・シャイダーの狂気じみた演技と、インパクトのあるミュージカル・シーンの数々に対してだ。

前者に関しては、ブロードウェイに命を燃やす男の表情、身体、性格はまさにこれ!といった感じで、『ジョーズ』と戦った、あの屈強で頼りがいがあるブロディ署長の面影は全くない。

しかし本作は、ボブ・フォッシー監督の自伝的作品であり、R.シャイダーは監督たっての希望だったそうだが、それに呼応するかの如く、シャイダーのフォッシーは生々しく"圧巻"。

そして、後者における、クライマックスの壮大なミュージカル・シーンは、現実パートとの対比も相まって、アカデミー賞受賞も納得の"すごさ"!!
『巴里のアメリカ人』、『ラ・ラ・ランド』におけるそれともまた違った、舞台を意識した造りなのが面白い。

ただし、「Bye Bye Love」の歌詞と、化粧したR.シャイダー、病的な明るさは、強烈過ぎて最早ホラーの域。

毎朝執拗に繰り返される、クスリとサプライズの演出、
中盤、関係者に披露した新作のダンスが、エロスと暴力が混在した暗黒舞踊のようなものだったりと、本作を唯一無二たらしめるは、そういったホラー的描写もあってかと思う。