オール・ザット・ジャズの作品情報・感想・評価

「オール・ザット・ジャズ」に投稿された感想・評価

2018/5/26 シネプレックスつくばにて午前十時の映画祭9で鑑賞。

「すごい映画を観た…。」

鑑賞後の第一声がこれ。
前知識なしで観たので、あまりの衝撃にどっと疲れ、中々席を立てなかった。
(何なら本作のレビュー書くにあたって、上手い説明が思いつかず4,5日が経過。)

この"すごい"というのは、ストーリーや伏線回収の巧みさとかではなく、
ロイ・シャイダーの狂気じみた演技と、インパクトのあるミュージカル・シーンの数々に対してだ。

前者に関しては、ブロードウェイに命を燃やす男の表情、身体、性格はまさにこれ!といった感じで、『ジョーズ』と戦った、あの屈強で頼りがいがあるブロディ署長の面影は全くない。

しかし本作は、ボブ・フォッシー監督の自伝的作品であり、R.シャイダーは監督たっての希望だったそうだが、それに呼応するかの如く、シャイダーのフォッシーは生々しく"圧巻"。

そして、後者における、クライマックスの壮大なミュージカル・シーンは、現実パートとの対比も相まって、アカデミー賞受賞も納得の"すごさ"!!
『巴里のアメリカ人』、『ラ・ラ・ランド』におけるそれともまた違った、舞台を意識した造りなのが面白い。

ただし、「Bye Bye Love」の歌詞と、化粧したR.シャイダー、病的な明るさは、強烈過ぎて最早ホラーの域。

毎朝執拗に繰り返される、クスリとサプライズの演出、
中盤、関係者に披露した新作のダンスが、エロスと暴力が混在した暗黒舞踊のようなものだったりと、本作を唯一無二たらしめるは、そういったホラー的描写もあってかと思う。
ジャズが聴けるのかと思いきや違う意味なんですね…
あとあとボブフォッシーの自伝作品だった事を知る。
救いようがないが自分のやりたいようにやったんだし、本人としては幸せだったのでは!?
ラストに向けての盛り上がり、ショーの華やかさ、葬式の皮肉、娘と不倫相手のダンスは良かった。
It’s showtime, folks!
華々しいショービズの陰にある苦悩や恐怖をブラックに自虐を交えシニカルに描く。
「舞台」への、過剰な執着に自身を追い込み自縄自縛に陥る主人公を描く描写はまさに狂気。カルト映画ぽいんだけど、なんか妙にリアルで顔が引きつるような感じ。
「キューブリックも悩むのかな」「俺は普通なんかじゃない」と言う、自分を凡才だと思う/思われるのが怖くてたまらない怯えてる主人公が印象的でした。本当に自虐。
しかしその自虐ネタを作品にしてることで結局「エンターテイメント」なのがなんとも皮肉〜!
自らがモデルである監督の、命をかけた狂熱な叫びがビシビシくるロックすぎる映画。ラストシーンは圧巻。
肩が凝りそうなくらい強烈な監督の思いがある。
「コーラスライン」「プロデューサーズ」に少しずつ似てるところがあった
特別重低音上映で鑑賞!
とり

とりの感想・評価

3.8
"I think HE's gonna die♪"現実と虚構の境界が曖昧になりあらゆることを出汁/肥やしにする人生=キャリア、まるで『8 1/2』(女性に囲まれているし)。意義深すぎる狂気。このアートなショータイムは神掛かった編集と共に作り手の強迫観念を感じて素晴らしい♪"もう一度だ"、素晴らしい!圧巻のダンスシーンにもちろん音楽も最高。ロイ・シャイダー演じる主人公は女たらしで妥協なき鬼軍曹監督、自作品での表現のためにはツラくも当たるし自ら踊っても見せる完璧者義者。というこの上無く映画映えするキャラクターが感情移入できるかはさておき本作をより強固により魅力的に、そしてより狂おしくしていることは言うまでもない。完璧さを求めるあまり滑稽なほどの必死さ。剥き出しにセクシャルでいて大胆つまり前衛的かつ原点回帰。表現者とはいついかなる時も終わることなく苦悩するものである、まるで悩みが消えると自分も消えるか死にでもするように。変人の内世界に潜り込むような体験に観客すらも感覚が研ぎ澄まされていく。こだわり、ストレス、衝突。舞台劇のような臭い言い合いに男女の本音と飛び散る汗が垣間見える。ここでは誰もが夢を見て夢に破れるようなスポットライトの光と影。ショービズの裏側・舞台裏を覗き見るような危うさ、一瞬の輝きのためにどれほどの時間を費やしてきたことか。口論したりしている時以外かなり流れている音楽も合わさって少しサイケ感すら漂うようなストーリーテリング。キレキレでリズミカルな演出編集、舞台的照明が生み出すテンポに抗えない。ケバケバしく過度なほど色んな本気を感じる作品だからこそ映画と音楽の魔法どちらも宿っている。人生は未完成で時間が必要なのに時間は足りない。狂気の70年代と技術進歩に伴うチープなピコピコ感で近未来像を模索したエンタメな80年代を繋ぐのに最適なフィジカルさは妥協なき表現の極致。個人的にはミュージカルは大好きだし表現の過程を描いたものは身につまされる思いで興味深く見られるけど、本作はとても好きというほどでもなかった。何より見るのに尋常じゃない体力を消費する極限状態。だけど、届く人には届いてハマる人はハマるはず。だから今なお熱い支持を得ているわけで、それも大いに納得。最後の最後まで妥協しない生き様はまるで『赤い靴』的でもある。

「キューブリックも落ち込むのかな」「映画スターになりたいの、子供の頃からスクリーンの中の私に恋してきた」「あなたは下半身に正直すぎるの」「うまいな。いつか使おう」「よくできたセリフね」「これじゃだれも見ない」「普通になるのが怖いんだ」「並を恐れている」"I don't want to die. I want to live."「何かが壊れていく、何かがおかしい」DENIAL"♪Bye Bye Life. Bye bye Happiness. Hello Loneliness. I think I'm gonna die♪"

TOMATOMETER86%, AUDIENCE86
Critics Consensus: Director Bob Fosse and star Roy Scheider are at the top of their games in this dazzling, self-aware stage drama about a death obsessed director-choreographer.
午前10時の映画祭
Cat

Catの感想・評価

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愛人と子供のダンスシーン、
愛人と妻が一緒に病室にいるシーン、
実生活でもそんな場面があったのだろうかと考えてしまった。
愛人役にアン・ラインキングを選んだり、正直だとしてもボブ・フォッシーってほんとに罪作りな人だなと思う。
そんな彼のリアリティーが詰まったこの映画は、最高だった。
こやま

こやまの感想・評価

4.2
こんな撮り方したい。
天才と呼ばれる裏には孤独はつきもの。ですね!
MiYA

MiYAの感想・評価

2.5
歌って楽しいミュージカル映画を期待したら、随分違いましたね。死の影が濃い、暗い映画でした。

なんか歌とか振り付けが「シカゴ」に似てるなーと思ったら、その「シカゴ」の振付家の人の話だったんですね。
友人と上映会の3本め。
死を間近に控えた男のものがたり。

なぜだかその人生を振り返る滑稽にもみえていたミュージカルシーンがだんだん華々しく楽しく思えてきて、なんだか嫌いになれない。笑

自分のときもこうしてほしい、とさえ思った。笑

どの世界でも天才や鬼才と呼ばれるひとはなにか突き抜けてるけど、この主人公もかなり突き抜けてた。

自分も芸術の一端を担うものとして見習いたいなと思う部分もあり。
一部だけど。笑

主人公がダメ男すぎて、アルフィー思い出した(アルフィーもダメ男&ダメ男映画。笑)
ミュージカル「シカゴ」の作者ホブフォッシーの自伝ということで…
舞台演出の仕事で大成功したけど、好き放題やって生きてきたツケが効かなくなり残念ながらこの世を去る事になった自分へ贈る花束のようなミュージカル映画。
ダンス、世界観、衣装。40年前の作品だけど斬新にすら感じる。

ラストの目玉、bye bye lifeが引く程盛大⇦褒めてます。
エブリーブラザーズのbye bye loveの替え歌?に生への未練たっぷりの想いを乗せてノリノリで歌って踊った後は、美人な死神様の元へスーっと静かに召されていく。このラストシーンがとても好き。

観るまではこんな自伝映画を作る人って自己愛だらけの人かと思ったけど、破天荒ながらショービジネスと家族を心から愛した人だった事がとてもよく伝わってきた。
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