てつこてつ

ディナーラッシュのてつこてつのレビュー・感想・評価

ディナーラッシュ(2000年製作の映画)
3.8
DVDレンタル時以来の約20年ぶりの再鑑賞。

群像劇としては非常に良く出来ている素晴らしい脚本。登場するどのキャラクターも実に生き生きとしていて、その人物像が一つの台詞からも想像できるほど。終盤でのストーリーの落としどころも絶妙で痛快。

マンハッタンの「リトル・イタリー」と呼ばれるトライベッカ地区の評判のイタリア料理店が舞台。オーナーはその世界から足を洗おうとしているマフィア、チーフシェフはその息子。スーシェフは賭博にハマっていてクイーンズ地区を牛耳るマフィアから借金までしている始末。ある晩、オーナーの招待でクイーンズからわざわざマフィアがディナーに訪れる。3ヶ月先まで予約で埋まっている人気レストランらしく、この日も満席。厨房のコックたち、ウエイトレスたちも大忙し。

来客陣には鼻持ちならない美術ギャラリーのオーナー、ニューヨークで一番影響力がある料理評論家、バーカウンターでバーボンソーダをひたすら飲みながら陽気に振る舞うウォール街の金融マンと思われる一見さん、ニューヨーク市警の夫妻と、一癖も二癖もありそうな人物ばかり。

クイーンズの若いマフィアの二人組は温和に物事を収めようとするオーナーに対して、スポーツ賭博から手を引くだけでなく、スーシェフの重なる借金の肩代わりとして、レストランの共同経営権まで要求する裏で、そのスーシェフは、その夜に開催されるバスケットボールの勝ち負けに大金を注ぎ込む始末・・

クライマックスの大団円と一連の流れは実にお見事。テイストとしては全く異なるけれど「私に近い6人の他人」をも彷彿させる台詞で見せる芝居がいい。これは舞台劇としても十分成立するんじゃあないかな?

撮影の舞台となったレストランは当時話題となり、ニューヨークを訪れた際に入店しようとしたものの、やはり予約で一杯で断られた思い出も懐かしい。
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