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ディナーラッシュのrage30のネタバレレビュー・内容・結末

ディナーラッシュ(2000年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

ニューヨークのレストランを舞台にした群像劇。

レストランを舞台にした作品という事で『ボイリング・ポイント/沸騰』を想起してしまうわけですが、本作の厨房の描写も、なかなか臨場感があって良かったですね。
空間的にも時間的にも余裕がない上に、密室で上下関係が厳しく、ハラスメントが横行し易い環境…台詞でもあった様に、まさに戦場を見ているかの様でした。

そんな戦場を見せる事に特化した『ボイリング・ポイント』と比べると、本作はレストランに集まった人々をより俯瞰的に描いていきます。
オーナーと息子の確執、過去に因縁のあるギャング、ギャンブル依存症のシェフ。
これらレストランの経営権を巡るサスペンスを主軸にしつつも、厨房内での恋愛もあれば、迷惑客とウェイトレスのいざこざがあったり、やたらクイズの強いバーテンやカツラをつけた料理評論家なども登場し、本筋と関係のない挿話も描かれていくと。

枝葉の様な小話やキャラクターを楽しむのも群像劇の醍醐味だと思いますが、個人的には物語が散漫になってしまった印象も受けました。
流石にバーテンのクイズ大会を見ている時間は「何を見せられているんだろう…」と感じてしまったし、終盤で殺し屋が登場する件には驚かされたとはいえ、サプライズ以上の意味付けが用意されていないのは物足りなく感じる部分。
例えば、バーテンのクイズが何かの伏線になっていたり、あの殺し屋がギャングに殺された男の息子だったりすれば、もっとスッキリした事でしょう。

群像劇なわりには、最後に点と点が線になる様な快楽が薄く、そこが私にはイマイチ刺さらなかった理由かもしれません。
そう考えると、あくまで主人公の視点で話をまとめていた『ボイリング・ポイント』の方が好みかな。
もしも、本作がイマイチだったという人には『ボイリング・ポイント』も見て欲しいですね。
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