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薮の中の黒猫のMOCOのレビュー・感想・評価

薮の中の黒猫(1968年製作の映画)
4.0
「娘がたいそうお世話になりまして、ありがとう存じます」(おヨネ)
「いやいや、夜風に吹かれて送ったまでのこと礼を言われるほどのことではない。
 そなた達どこかであったような気がするな」(武将)

 妖艶な大地喜和子さんが出てきてものの5分で義母役の音羽信子さんと共に野武士に襲われ、家に火を放たれ焼死します。家は全焼なのに二人とも何事もなかったような美しい焼死体になっていて、二匹の黒猫が二人の血を舐めて……という化け猫になった二人の復讐劇、夜な夜な武家の男を屋敷に招き入れその寝首に牙をたて・・・
 話はさらに………。

 不思議なのは劇中の音楽です。この映画は1968年2月24日に封切なのですが、1968年2月8日アメリカ公開の「猿の惑星」と劇中に使用している音楽が酷似しているのです。私が知らないだけでもっと前からある音楽を共有しているのかもしれないのですが、個人的には「猿の惑星」以前には聴いた記憶がありません。
「藪の中の黒猫」は林光さんという方が音楽を担当されているのですが、80才で亡くなるまでの賞の受賞歴、オペラへの貢献、NHKの時代劇の音楽の制作と輝かしい経歴の持ち主です。「猿の惑星」の音楽はジェリー・ゴールドスミスさんが担当なのですがこちらも、アカデミー賞受賞歴もある凄い経歴です。

 私の乏しい調査能力では、二人の接点はわかりませんでしたが、この音楽の酷似は本当に不思議です。「藪の中の黒猫」はほぼ全編に流れていますが22分頃の音羽信子さんが踊るシーンと「猿の惑星」は1時27分頃の立入禁止地帯のシーンが比較しやすいので、確認してみると面白いです。特徴的な音楽ですから誰もがその酷似が解ります。
 
 出演者も豪華で撮影も面白い作品です。
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