CHEBUNBUN

ハート&クラフトのCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

ハート&クラフト(2011年製作の映画)
3.5
【エルメス製品ができるまで】
ブランドとは無縁の映画オタクであるブンブンからすると、エルメスは『電車男』のイメージでしかない。そんなブンブンがひょこんなことからエルメス公認のドキュメンタリーDVDを入手したので観てみた。

本作は例えるならば、採用活動用PR映像だ。就活生にエルメスの素晴らしさや業務内容を知ってもらう為の作品。故にエルメス職人としての良いところしか描いていません。だからドキュメンタリーとしてはそこまで評価はできません。

しかしながら、本作を観ると仕事を頑張りたくなるのは間違いない。また、日本の技術者、職人教育の問題点が分かります。

まず、本作が面白いのは、職人になる道は険しいが、間口は広いということ。59歳のおばちゃんや、発話障がい者、移民といった多様な人が採用され、職人の道を目指す。仕事が向いているか向いていないかは、働くまで分からない。駄目だったら別の道に行けばいいじゃないかというフランス的仕事観が職人業であるエルメス工場でも受け継がれています。そして、言語等の壁も技術を通じて克服していく姿は、日本にはなかなかないものを感じます。

また、伝統的な工場でありながら、開発にはCADみたいなものを使って、技術と効率の向上を図っているのも、なかなか日本では見かけない。

そして、最初は製作に2,000時間も要していた人物がしっかり技術を身につけることで、伝統が受け継がれていくシステム作りがちゃんとされているのを観て、職人国家日本もしっかりこういった継承のシステムを作らないといけないのではと感じた。
CHEBUNBUN

CHEBUNBUN