柏エシディシ

ミステリー・トレインの柏エシディシのレビュー・感想・評価

ミステリー・トレイン(1989年製作の映画)
3.0
ジャームッシュのロックンロール宛のラブレター。彼なり、の。
ジャームッシュ一連の作品で繰り返されるモチーフや響き合うエピソードやキャラクターの答え合わせをする様に観る。

スカした若い永瀬正敏とキュートというより間の抜けた工藤夕貴のカップル。
あちらの人から観た典型的な"日本人カップル"というおのぼりさん風情で居心地が悪くなって、昔も今も少し苦手だ。

ゴーストタウンの様なメンフィス。
ジャームッシュの映画は訪れたことのない街、会ったことの無い人たちが、あたかも自分の知っている場所や友人知人の様に感じられてくる魔法がある。
人っこひとりいないあのうらぶれたあの通りを歩いた気がするし、酔っ払って転がり込んだボロ宿の一晩の思い出は自分のものじゃあないのか?

誰もが写真に撮りたがる景色なんて頭で憶えているもの。
どうでも良さそうなことやものの方を写真に残すべき。
なんだかジャームッシュの映画の本質を突いてる気がする。
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