あーたまんねえこの感じだよ。赤、青、黄色がバランスよく一枚の画面に混在する完成されすぎた色彩、昔の小説みたいな気取った台詞回し、間の抜けた空気感の長回し、漸近する曲線のように限りなく近づきながらも交わることのないストーリー。
アメリカ南部の街メンフィスのとあるホテルに泊まる3組の宿泊客を描いた群像劇。ロックスターに憧れたバブル風の日本人カップル、夫を亡くし金を湯水のように使うイタリア人と相部屋になったこの街を出る女、酔った勢いで人を撃ってしまった3人の男たち。
ある者は自国から遠く離れたことを実感し、ある者はそこでエルビスの亡霊を目にする。隣部屋の彼らの人生は交わることはないけれど、誰もがラジオから流れるエルビスの「ブルー・ムーン」を聴きながら眠りにつく。(日本人が横浜から来てるのは「ブルーライトヨコハマ」と掛けているのか)
特に日本人のセリフがクセが強くて好きだなあ。時代を感じるというか。
「ねぇ私たちさっきからずっとこの列車に乗ってるみたいなんだけどさあ、このまま永遠に乗ってんのかなぁ」
「俺はいつでもハッピーだよ、だってこれが俺の顔なんだ」
「あたしこれであなたとは7回セックスしたけど髪の毛のことなんて考えたこと一度もなかったわよ」
バブル風の日本人、むっちゃ声小さくてセリフが聞き取りにくい。かと思えばつぎのイタリア人は倍くらいの声量でウケる。
メンフィスの廃れた感じと、黒人とエルビスが牛耳ってる感じが随所に出てて、メンフィスという街の独特の雰囲気を感じられて良かった。
ジム・ジャームッシュやはり好きすぎる。