映画武士道

フェア・ゲームの映画武士道のレビュー・感想・評価

フェア・ゲーム(2010年製作の映画)
4.8
骨太な社会派ドラマ作品です。とても面白かった。

ジョージ・W・ブッシュ大統領がフセイン政権のイラクに「大量破壊兵器が存在し、それが周辺国に脅威を与えるから」ということを口実に開戦した。
でも終戦後米軍が勝利し占領後のイラクを探し回ったがそのようなものは見つからなかった・・・後になって分かったことですが。
これがイラク戦争です。

この戦争に果たして本当に大義名分はあったのか・・・
この戦争を起こす必要が本当にあったのか・・・


その前にもイラクでは1991年の湾岸戦争がありました。
ジョージ・W・ブッシュの父、ジョージ・H・W・ブッシュが指揮し多国籍軍がフセイン大統領の支配するイラクに攻め込み勝利はするもフセイン政権の解体、完全占領には至りませんでした。
その父のやり残したフセイン政権イラク打倒をやり遂げたかったというジョージ・W・ブッシュの私的な目的やイラクでは石油がとれるので石油利権が絡んでいたのでは?
と言われています。

この作品ではCIAはイラクに大量破壊兵器を作る気はこの時点ではなかった。としている。
その報告をあげたのが主人公のCIA女性職員とその協力者であり旦那でもある元大使(元外交官。ニジェールや中東担当。開戦前にフセイン大統領に最後に会った外交官)。
開戦を望むホワイトハウスは大量破壊兵器がなく作る気もないというCIAの報告にいら立ちを覚えます。
そのような事実はない!というCIAにホワイトハウスから大統領補佐官が送り込まれてくる。
「イラクに大量破壊兵器はない。」という報告をするCIA職員に毎日「ほんとかな?絶対だと言えるのか?」と圧力をかける。
そのような状況の中でCIA職員の中の妄想的な一部の過激派がそのような事実はないにも関わらず、「イラクは危険な国家。大量破壊兵器を所有してる疑惑あり」とホワイトハウスに都合のいい報告を上げてしまう。
CIAから口実を得ることに成功し念願の開戦に勢いづくホワイトハウス。派手に報道を行い、ついにイラク戦争を開戦。

そのような中で異を唱えたのが主人公の旦那の元大使。
正義感と職務的良心に基づいて「イラクが大量破壊兵器を保有している。そのような事実はない。」とマスコミの前で反論。

すると、ホワイトハウスの大統領補佐官が主人公たちを潰そうと大統領権限を使って機密事項であるはずの主人公のCIA女性職員の身分を新聞にリークしてしまう。

CIAエージェントは身分が明るみになると実質干されるもしくはクビになる状態になるらしく、主人公のCIAエージェントは今まで携わってきた全ての作戦の指揮権を剥奪され。しかも部署から追い出されてしまう。(作中の描写では実質クビみたいな感じの表現です)

その状況に怒り狂ったのが主人公の旦那の元大使。
いろんなテレビ番組や新聞に出演。ホワイトハウス側は違法な手段で機密であるCIA職員の身分をリークした!と騒ぎ立てます。
機密であるCIA職員の身分をリークすることは違法。重罪で250万ドルの罰金。10年の懲役。

ここからホワイトハウス&CIA 対 元CIA女性職員と元大使の戦いが始まる・・・
というストーリー。
戦うと言ってもほとんど戦ってるのは旦那の元大使だけ。メディアを使ったホワイトハウス陣営とのバッシング戦です。
この旦那がかなりのやり手でメディアを使って世論を動かしたり。反戦組織みたいなのを作ったり。すごい活動をしています。
ホワイトハウス側も黙ってるわけではなく主人公側の悪口をメディアで言いまくる。
「身分がばれたのは主人公のCIA職員が無能。三流のエージェントだから」「主人公たちは国家に逆らう嘘つき売国奴」「金儲け目的の売名行為」と言いたてます。

今まで国家に尽くしてきた主人公のCIA職員はショックで実家に帰ってしまったり・・・すごくかわいそうです。
というかCIAを敵に回してるのでいつCIAから暗殺者が送られてきてもおかしくないですし、敵対国家にも元CIAという身分がばれてしまっているので暗殺者が送られてきてもおかしくない。

国内の過激派からも暴言を吐かれたり嫌がらせされたり身の危険を感じる状況・・・。

そのような状況の中、主人公たちは見事ホワイトハウスに打ち勝つことができるのか?
というストーリーです。

めちゃくちゃ面白いです。
私的に思ったのは主人公の旦那。もう主人公と言っていい元大使なんですけど、めちゃくちゃ正義感凄いですね。
私も少し政治家と関わったことがありますけど、まあ腹黒いというか一筋縄でいかない人ばかりでした。(元自民党員です)
平の自民党員の私でも政治の怖さというか腹黒さをひしひしと感じるレベルなのに、もっと深く政治に関わっているはずの元大使のこの旦那はよく身の危険も顧みず正論を吐けますね。
悪い人たちに染まらないというか、国家の父の理想や理念を遵守するというか・・・
アメリカ大統領という地球で最も権力がある人間の一人に真っ向から立ち向かっていく勇気。権力者の横暴を黙って見過ごさず正義と法と理念を貫いていくその姿勢。
本当に素晴らしいです。

正直今の日本もいろいろあるので・・・ぜひとも見て欲しい!!
そんな作品です。


しかもこの作品元CIAの女性エージェントの実話「プレイム事件」が元になってる!!
驚きです。実話だったとは!!
ますます素晴らしいです!
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