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ヨーロッパのpikaのレビュー・感想・評価

ヨーロッパ(1991年製作の映画)
3.0
催眠術にかけられるようなオープニングからなんだかワクワク、ナレーションはマックス・フォン・シドーなんだ!良い!淡いモノクロにアレクセイ・ゲルマンやタル・ベーラの香りを感じつつ酔える。
戦争直後のドイツを舞台にしたサスペンスをモノクロで、時にカラーを織り混ぜながら不思議な映像演出と切り口で描く独特な作品。

スクリーンにモノクロの映像を映した前でカラー撮影しているのだろうか、構図や演出が完璧で血の流れるシーンなんかは目を見張る。
物語至上主義ではないけれど、ミステリアスなストーリー展開と独特な映像表現がイマイチ融合していない感じもして、奇をてらった演出には見えないまでもドラマのために演出してるようには見えないため、映像表現に気を取られると展開に入り込めなくなり、演出とドラマが別々に存在しているような感覚になるため映画として本末転倒的な印象も。
ナレーションがそれを補うべく主人公と観客が一体となるような語りかけをしてくるが、補うべく挿入されているように感じられ、効果としてはイマイチ映えてないような。

自身のセンスをこのように実験的な演出で形にし独特な個性を作り出していったのか、その過程を感じられるという点では興味深い。
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