福福吉吉

憑神(つきがみ)の福福吉吉のレビュー・感想・評価

憑神(つきがみ)(2007年製作の映画)
3.0
幕末、婿入りした井上家から離縁され、貧乏暮らしの別所彦四郎(妻夫木聡)は馴染みの蕎麦屋(香川照之)から、出世のご利益がある「みめぐり」神社の話を聞く。信じていなかった彦四郎だったが、酔って転んだ場所に三巡稲荷があり、酔った勢いで祈ったところ、貧乏神(西田敏行)を呼び寄せてしまう。

ストーリーは比較的ゆっくり進むが、個性的な登場人物が多く、そのやりとりが楽しいので、あまり気にならなかった。しかし、喜劇的なパートが楽しかったので、終盤のシリアスな展開は正直、残念に思った。

主人公である別所彦四郎は、将軍の影武者を務めていた家柄、誠実で能力が高い、身分で人を判断しない、と出来過ぎな人間であるため、人間臭さが無く、出てくる災いの神様よりよっぽど神様っぽかったので、感情移入しにくかった。また、彦四郎を慕い、応援する人も多く、こんな人が落ちぶれていることが現実的じゃなかった。

しかし、とても神様とは思えない愉快な貧乏神、豪気で頑固な相撲取りの疫病神(赤井英和)、思考も見かけも子供で非常に愛らしい死神、と個性豊かな災いの神達と彦四郎のやり取りは楽しかった。私としては貧乏神の西田敏行が観ていてとても楽しくお気に入りだった。

また、彦四郎の兄である左兵衛(佐々木蔵之介)が非常に怠け者で、お役目をさぼっては毎日、酒を飲んでばかりという駄目っぷりは、とても人間臭くて面白かった。

普通に面白かったと思う。
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