えびちゃん

秒速5センチメートルのえびちゃんのレビュー・感想・評価

秒速5センチメートル(2007年製作の映画)
3.7
開始数分で涙が出てきた…。桜と雪の舞い落ちる描写、さみしげな両毛線、種子島の圧倒的な青空に涙がじわじわ溜まった。なんなの、背景美しすぎるでしょう。いつもの新宿なのに、目を凝らし雑踏に耳を傾けるとこんなに鮮やかで多彩な音に包まれているのか。広告の氾濫やあっちこっちから流れてくる無駄すぎる音楽で溢れかえる都会の街につくづく辟易としていて、代々木で乗り換えるほどには新宿はあんまり好きじゃないんだけど、作品を通してみたいつもの新宿になんとも言えない愛おしさがこみ上げてきた。じっと目を凝らしありのままをアニメとして落とし込んだ作り手の誠実さが伝わる。ただ…ただ…、こんなに背景が素晴らしく綺麗なのに、なんでキャラクターデザインが凄まじくイケてないのでしょうか…涙
手紙のやり取りを重ね、ついに心が通い合った少年の日の思い出、不確かな深遠に向かって手を伸ばしもがいた少年を後ろからささやかに包み込もうとした少女との思い出。そして終章はもうなんだか中央線から大江戸線まで突き落とされた気分。こんな…切なすぎる描き方…しんどすぎるでしょう。桜が舞い落ちるシーンからどんなに素敵な結末が待っているのかと思ったら、こんなに心えぐられるとは。
最後の「秒速5センチメートル」はもう瀕死(また)。山崎まさよしの楽曲がすんごい良い。全体を通して主人公 貴樹くんの語り(ポエム)がすっごく多いのに、超重要なところは全く語られずに楽曲にのせて一瞬のカットを重ねていくのもグッときた。one more time, one more chanceのMVかというくらい。わたしこういうのすごく好き。ここだけ6回くらい観たし、これからも繰り返し観てなんども傷ついて浸りそう。
男性はこの作品きっと大事に想う方が多いんだろうなぁ。そして女子はあんまり好きじゃないという方多そうですね。どちらもよくわかります…。
新海誠監督作品が俄然気になる。
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