「雨に唄えば」の前年に作られたジーン・ケリー主演のミュージカル。
オスカーではまさかの無冠だった「雨に唄えば」ですが、今作は作品賞受賞。そしてジーン・ケリーにはアカデミー名誉賞が贈られました。
いかにもアメリカンスター!のケリーがパリに住む売れない絵描きという役柄、四角関係の恋愛ではみんな思いやりに欠け自己中…という感情移入しにくい設定はあるものの、さすがのダンスシーンの連続とガーシュインのスコアには唸らずにはいられません。
パリの子供たちに英語を教えながら歌い踊る「I got rhythm」
私の大好きなケリー×子供!
言葉より雄弁に、チャップリンから飛行機まで次々とダンスで表現していくケリー。子供の楽しそうな笑い声さえ音楽の一部になっているようなこのシーン大好き!
そしてラスト18分間。
ニナ・フォックが子役からおたふく風邪を移され撮影がストップした3日間で構想を練られたという、ミュージカル史上に残るダンスシーン。
印象派の絵画を観ているかのようなバレエは、演出・振付師としても活躍したケリーの真骨頂。
彼が振付したダンスは幻想的なものが多いけれど、そこには物語のテーマや感情がきちんと存在し、観客を現実と夢の狭間に心地よく誘ってくれる。
何度観ても新たな発見があるほど細部まで作り込まれたダンスに、何度でも見惚れる。
ウエストエンドでの舞台はもう来年には打ち切りが決まってるけど、いつか舞台版も観たいなぁ。
ひとりオーケストラの演出が舞台だとどうなるのか気になる!