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バットマン ビギンズの海老のレビュー・感想・評価

バットマン ビギンズ(2005年製作の映画)
3.9
レディ・プレイヤー1をキッカケに過去作を追いかけよう企画。
ティムバートン監督、ノーラン監督のバットマンを順に。

黒く、静かに生きる姿がかっこいい。

単なるアクション映画かと思っていてごめんなさい。こんなにも、キャラクターの魂を描いた、リアルでシリアスなドラマだったとは。

ティムバートン監督のバットマンはジョーカーの強烈な引き笑いに飲み込まれている印象でしたが、本作では、とことんブルースウェイン、バットマンを掘り下げていて、「ビギンズ」の名に恥じない始まりの物語でした。

バットマンといえば孤独に生きる印象だけ持っていましたが、その過程、ブルースの決意がしっかり描かれていて、とても惹かれます。ブルースという人物も、バットマンというシンボルも、今作ではどちらも魅力的。直接的な言葉は多く語らず葛藤や心の動きを描いていくのは繊細ささえ感じる。
人物像に加えて、バットマンが持つガジェットの数々の、さりげないカットもくすぐられますね。出撃時のシークエンスでカチッ!カチッ!と硬質な装備を付けていく過程は観ていて心が躍る。

作風のダークな雰囲気もたまりません。色調、ゴッサムシティの風景、囁くような喋り方、映像に同化した音楽、どれも本作の世界観を彩るのにしっかり構成されていて、ヒーロームービーなのに、アダルトな雰囲気を感じます。勿論、登場するキャストたちの力も大きいですね。何の情報も入れずに観たものですから、色々と驚きました。マイケル・ケイン扮するアルフレッドが特に好きでした。僕も「…Never!」って言いたい。


「人の本性は行動で決まる」
作中に出てきたセリフですが、まさにそれを体現するかのような、信念を感じる作品でした。
その言葉を語ったレイチェルも、ブルースの覚悟に準じるような、やるせなさを感じる締めも含め、ダークナイト誕生秘話に痺れました。
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