「正義は秩序のため、復讐は自己満足のため」
犯罪渦巻くゴッサム・シティ。
少年時代、その街の路地裏で資産家の両親を強盗に射殺されたブルース・ウェイン。
街の治安の悪化に悲嘆した少年は、悪を倒して生きることを決意し、闘う力を身に付けるために旅に出る。
世界中を放浪して逞しく成長したブルースは、犯罪者について知るため裏社会に身を投じる。
やがてヒマラヤの刑務所に収監されることとなった彼は、謎の男ヘンリー・デュカードと出会う。
男は、「天の定める正義」を教義とする謎の結社"影の同盟"からの使者であり、ブルースを仲間に誘いに来たのだった。
釈放されたブルースは、山奥の秘境にある結社のアジトに向かい、迎え入れられる。
そこではデュカードがブルースの師匠として心身ともに鍛え、様々な戦闘術を教え込んだ。
そして試練を乗り越えたブルースは、ゴッサム・シティへと舞い戻ることとなる。
しかし、街には以前よりも犯罪と暴力が蔓延り、権力による腐敗が進んでいた。
街の浄化は一筋縄では実現できないと考えたブルースは、彼の理解者たちと専用ガジェットの力を借り、漆黒の仮面の騎士「バットマン」として活動を開始する...。
クリストファー・ノーラン版バットマン、「ダークナイト」シリーズ第一作。
監督は『ブレードランナー』の大ファンで、スタッフには「『ブレードランナー』みたいな感じで」と指示したとのこと。
ゴッサム・シティの工学的イメージは元より、レイチェルやデュカード(=デッカード)など、『ブレードランナー』へのオマージュが感じられる。
演技派クリスチャン・ベイル演じるブルースは、期待を裏切らないはまり役。
加えて、マイケル・ケイン演じる忠実で厳格な執事アルフレッド、モーガン・フリーマン演じる装備の開発担当フォックス、ゲイリー・オールドマン演じる唯一の街の良心ゴードン刑事など、演技力確かな脇役が作品を盛り立てる。
そして、ケイティ・ホームズ演じるブルースの幼馴染レイチェルも適度なスパイスとなっている。
物語は全編ダークな雰囲気で、少年ブルースがバットマンになるまでの過程が丁寧に描かれる。
中でも、古井戸に転落したブルースがコウモリに襲われるシーンは、彼が「バットマン」となる暗示として印象的だ。
また、本作では「バット・モービル」のデザインが一新されている。
実用性と機能性を重視したデザインは「格好良い」の一言で、障害物を蹂躙して爆走する姿は、正に「装甲車」で非常に好み。
両親を死なせた罪悪感、犯人に対する復讐心、善人であれという使命感。
さまざまな苦悩と葛藤を抱えた普通の人間として描かれるブルースは、正に「ダークナイト」だった。
ハナマル!
2019/03/24