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オーメンのmenokiのレビュー・感想・評価

オーメン(1976年製作の映画)
3.6
70年代を代表するオカルト映画の名作。

あらすじ

6月6日6時。
妻が死産した駐英大使は、同じ日に生まれた孤児を引き取りダミアンと名付け育てる。


私が本作を鑑賞したのは中学生辺りだったが、その当時は本作を大して面白い作品とも思わず、ダミアンが悪魔の子だとほとんど確定しているのに主人公は何故早く殺そうとしないのかとイライラしながら鑑賞していたのを記憶している。
それから15年以上の時を経て親の立場になり改めて本作を鑑賞したが、中学生の時に感じた退屈さは全くなく、よく練られた脚本や見応えのある演出にすっかり心を奪われてしまい、画面に釘付けになってしまうほど素晴らしい作品に感じてしまった。

まず演技に関してだが、どの役者もキャラクターをナチュラルに演じており違和感を感じさせない素晴らしい演技をしていた。
特に素晴らしいのが、ダミアンを演じたハーヴェイ・スペンサー・スティーブンスである。
よく日本で天才子役ともてはやされる子役がいるが、それらの子役とは全くと言っていい程次元の違う。

劇中でダミアンは天使のような愛らしい笑顔を見せているが、これが非常にナチュラルで演技と思わせない演技をしている。
その笑顔の中にうっすらと見える漆黒の闇もナチュラルに違和感なく表現しているので、視聴者に可愛いながらもどこかしら不安感を感じさせてしまう。
また、時折子供とは思えない冷たく鋭い眼光を見せており、それが何とも言えない恐怖を駆り立てる。

ダミアンを演じたハーヴェイ・スペンサー・スティーブンスも素晴らしいが、駐英大使を演じたグレゴリー・ペックもなかなかに良い演技をしている。
恐怖シーンでの恐怖にかられた表情はこちらにも恐怖感が伝わってくるし、何より天使の様な愛らしい顔で周りに死を招いていく我が子に対し、恐れや悲しみ、そして不信感を抱きながら苦悩する父親をリアルに表現している。
本当の子供ではないとはいえ、5年間も育てた子を殺さなくてはいけない苦悩は観ていて非常に心を打たれたし、自分が駐英大使の立場になったらとどうするかと脳裏に浮かんでしまう。
1児の父として非常に共感出来るキャラクターであり、それを見事に演じていたと思う。

ただ、劇中で駐英大使は自分の息子が「悪魔の子」だと確信してから即殺そうとしたが、恐らく私には同じ行動は取れないだろう。
「人間ではないから躊躇せず殺せ!!」とか結構他人事のように神父達は言っているが無理なもんは無理だろ・・・。
そもそも悪魔側は世話係や番犬などの万全なサポートに対し、教会側は駐英大使の前に突然現れてや開口一番に、


神父「あなたの子は悪魔の子だから、殺せ!!」


だの


神父「あの子はジャッカルから生まれました。」


だの言って駐英大使信じてもらえない事に落胆しているが、信じてもらえる訳ないだろ ( ゚Д゚)ヴォケ!!
もっと論理的に詳しく説明しろよ (゚Д゚)ゴルァ!!

もし、楽天生命パークで息子と一緒に野球観戦している最中に隣にいる神父から、


キチガイ神父「その子はあなたの子じゃない、悪魔の子だ!!今すぐ殺せ!!!」


とか言われたら、ブチギレる以前にイカれた哀れなカルト教団にしか思えないし、兆が一にも信じる事はないだろう。

あと、駐英大使は実子の埋葬を病院側に任せ秘密裏に行ったようだが、実子の墓がどこにあるのかも知らず一回も墓参りに行かずに放置している点は全く理解出来なかった。
100歩譲って駐英大使という立場から自由に行動できず、妻や世間に実子の存在が知られてしまう危険性から墓参りに行けないというのならギリギリではあるが理解出来る。
だが劇中では駐英大使に警護が付いている様子もなく、記者と共にかなり自由に行動しているように見える。
そもそも大使が警護も付けないでプラプラ外に出て自由に行動してていいのかと思うのだが、こんなにも自由に行動出来るのなら、もっと前に実子の墓の位置を調べて墓参りに行ってやれよ!!

そういえば、劇中にてダミアンの誕生会時にベビーシッターが


ベビーシッター「ダミアン見て!全て貴方の為よ!!」


と言いながら、公衆の面前で首つり自殺を図るというショッキングなシーンがある。
そのシーンでは悲鳴を上げている人はいるものの、上げている人はかなり少数であり、そこにいる大体の大人は目をカッと開いたまま静止し、子供達は空中に飛んで行った風船を見るようにぼーっと首つり死体を見つめている。
当時はこのシーンを観て、何故公衆の面前で首つり自殺を図ったのにギャーギャー騒がないのかと違和感を覚えていたが、改めて鑑賞してみると悲鳴を上げないで自殺した人を見つめたまま静止したりした方がしっくりくるし、リアルに思えてくる。

音楽に関しても素晴らしく、世界の終わりを連想させるそうな不気味で冷たいものを感じさせるものとなっており、それが作風と非常にマッチし、視聴者に不安感を煽る効果を持たせている。

セット・編集・演出も素晴らしく、低予算ながらも作品全体に漂う暗黒を連想させる空気を上手く表現しそれを効果的に活用しているので、
恐怖シーンではない場面でも視聴者に緊張感を保つようになっている。

登場キャラクターの死に方もバリエーション豊富であり、スプラッターホラー好きな人にも飽きさせない作りになっている。

脚本に関しては結構ツッコミ所があるもののホラー映画としてはかなり良質な作品であるが、身の毛もよだつほど怖い作品かと言われれば、特に怖いと思う事はなかった。
確かに本作特有のジワジワ精神的に攻める演出を観て不安感や緊張感を感じる事はあったが、特に驚きはしないし恐怖感を感じる事はなかった。
これは演出や編集とかの問題ではなく、単に私が悪魔に対して恐怖を抱いていないから怖いと思わない訳で、恐らく敬虔なクリスチャンほど恐怖心を抱くと思う。

「ファイナル・デスティネーション」と「リング」を足して2で割ったものにサタニズムをテーマに添えた様な作品であるので、その内のどちらか一つでも好きだったり興味があるのなら一度は観た方が良い作品である。