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どですかでんのkazu1961のレビュー・感想・評価

どですかでん(1970年製作の映画)
3.8
🔸Film Diary🔸
▪️本年鑑賞数 :2021-699 再鑑賞
▪️死ぬまでに観たい映画1001本-※※※

🖋本作、黒澤明監督作品の中でも一際異彩を放った作品です。『どん底』のように貧しい戦後のスラム街のような“街”で起こる様々な人間模様をユーモラスに、そして幻想的に描いた作品です。

🖋黒澤明監督作品の初のカラー作品。本作で描かれているのは、その貧しい街での、近親相姦、夫婦交換、ホームレスの子供の死、不倫や不貞などを、コミカルに極力明るく描いていますが、モノクロだったら目を当てられない悲惨さかも知れません。なので初のカラー作品にこの題材を選んだのかもしれません。ダークで幻想的な独特なカラーと手作り感満載の造形に黒澤明のセンスを感じます。

🖋群像劇と言われていますが、かなりの出演人数、多くの短編エピソードの集合体で、一つに交わることもなく、かえって貧しさや痛さがシュールに伝わってきます。個人的には三谷昇と川瀬裕之が演じる乞食の親子のシークエンスがインパクトが強く、あまりにも痛い。。。後を引きます。

🖋それでも市井の人々は、精一杯生きている。。。ということが切に伝わってくる、そんな作品です。少年・六ちゃんが口ずさむ空想の電車を運転する時に発する擬音「どですかでん」、耳に残ります。

🖋結果、本作は興行的に失敗し、黒澤は大きな借金を抱えることになったそうです。しかしながら、本作は海外での評価が高く、第44回アカデミー賞では外国語映画賞にノミネートされたんですね。

😨Story:(参考:ciatr )
スラム街に住む少年・六ちゃんは、六ちゃんにしか見えない路面電車を毎日運転し歩いている。六ちゃんは母親と二人暮らしだが、母親は知的発達に異常が見られる息子のことを思い悲しみに嘆く日々。そんな二人が住むスラム街には、さまざまな問題を抱えた人々が住んでいる。顔面神経痛な主人と、近所でも悪評判ばかり唱えられる鬼嫁。互いの伴侶を交換した2組の夫婦。血の繋がらない5人の子どもを育てる父親。酒に溺れる旦那、過労に倒れる妻、旦那の子を孕ませられた妻の姪。六ちゃんは、誰のためでもなく、今日もひたむきに誰にも見えない路面電車を走らせる。

🔸Database🔸
・邦題 :『どですかでん』
・原題 : ※※※
・製作国 : 日本
・初公開 : 1970
・日本公開 : 1970/10/31
・上映時間 : 126分
・受賞 : ※※※
・監督 : 黒澤 明
・脚本 : 黒澤明、小国英雄、橋本忍
・原作 : 山本周五郎『季節のない街』
・撮影 : 斎藤孝雄、福沢康道
・音楽 : 武満 徹
・出演 : 頭師佳孝、菅井きん、伴淳三郎、三波伸介、田中邦衛、芥川比呂志、奈良岡朋子

🔸Overview (参考:映画. com)🔸
山本周五郎の小説『季節のない街』を映画化した黒澤明監督初のカラー作品。戦後のスラムを舞台に、電車バカの六ちゃんを取り巻く市井の人々のエピソードが、互いに入り組みながらユーモラスかつ幻想的に展開してゆく。木下惠介、市川崑、小林正樹そして黒澤明という日本を代表する巨匠4人で結成した“四騎の会”の第1回作品。これまでギラギラした人間像を描き続けてきた黒澤監督が、本作では彼本来のやさしさに立ち戻り、市井の人々へ向けて温かいまなざしを投げかけ、見る者の心を和ませる。
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