「まだまだ子供だ。世間から見れば。ほんの子供だよ」
この映画を見てあらためて感じたこと。
それは、男の子は、いつか生まれ育った環境から外に放り出してあげなきゃいけない時が来るということ。その過程が人間としての幅を広げる。逞しくする。
抱き締めることも語りかけることもせず、カーテンの陰に隠れて最愛のホーマーを送り出すラーチ先生の気持ち、痛いほどわかります。
でも私は信じたい。ラーチ先生の自分に対する愛情を知っているからこそ、ホーマーはいくつもの苦悩を乗り越え、最後の決断をしたのだと。
合間合間の切り取られた風景が印象的な美しい映画でした。
「これでもう、ずっと待ち続けずに済む。それに海も見られた」
ここからは余計な話。
素敵な作品でしたが、扱うテーマが余りに多すぎて、散らかり放題な印象を受けました。
父子愛、孤児院、嫉妬、中絶、宗教、不倫、差別、身分差、近親相姦、親殺し、戦争、ほのかな恋ごころ…。思い付くだけでも両手に余るくらい。
これじゃ主題に没入できない。
丁寧に作った良い映画なのにもったいないな、と思ってしまいました。ぐちゃぐちゃだからこそ味があるという方もいらっしゃるかも知れませんが。
この映画を好きな方、ごめんなさい。