jonajona

サイダーハウス・ルールのjonajonaのレビュー・感想・評価

サイダーハウス・ルール(1999年製作の映画)
4.7
年末らしい爽やかな映画を、
と思い手に取りました。

んだけど想像以上に煩悩まみれで…笑
けど、それもまた人生よ、と言わんばかりの温かい視点に作品全体のムードが包み込まれてます。いい映画でした。

ラーチ医師(マイケルケイン)が経営する堕胎医院兼孤児院の家には多くの身寄りのないこどもが暮らしている。ホーマー(トビーマグワイア)もその内の1人だったが、彼はマイケルから特に大切にされ医師としての知識と経験を学んで成長した。いずれはこの病院を継げるようにと…しかし、成長したホーマーは堕胎手術に抵抗を感じて狭い孤児院の世界から抜け出したいと、軍人の男についてゆき去ってしまう…

それから人生の酸いも甘いも経験し、どう生きるのかを考えた末の彼の結末がストレートながら感動的で、まさに煩悩の末の浄化って具合なので年末に観てよかった映画😂!笑

シャーリーズセロン美しすぎる。
彼女のお尻が拝めただけでもう年越せます(煩悩120%)。
彼女が口にする青いガラスの話や、『嵐が丘』のエピソードがホーマーと親密になってく心情とうまく重なってて自然なエロさを生んでて素晴らしかった!
タイトルのサイダーハウスルールというのは、主人公ホーマーが働くことになったリンゴ園の黒人労働者が共に生活する掘っ建て小屋に記されたルール書きのことで、彼ら黒人が書いたものではなくて経営者の白人が書いたもの。
屋根の上に登るな、という旨が3回も述べられるこのルールは『俺たちが作ったものじゃない』。自分が生きる場所ならば、自分で考えて、自分で決める。
たとえそれが間違った道でも人は自分たちで決めるしかない。そのあり方は人生と同じだと思う。そんなメッセージが見えたりする気がする。

この映画の魅力であり、
一つの特徴は『嘘』だと思う。
ホーマーの親代わりラーチ先生は教会に嘘をついて、違法行為ながら堕胎手術を行って人々を助ける。ホーマーにも医師免許はなくとも技術を与える。
死んでしまった子らの墓を作るが、子供達には『友達は里親を見つけた』と説明して落ち着かせる。子供達も気づいていても『信じたいから信じる』。
はじめはホーマーはそうしたラーチ先生の姿勢に反発して、施設はあとにする。
しかしホーマーは働き出したリンゴ園でさまざまな経験をして、人生の哀しみにも触れることになる。
軍人で出征した友人の妻に惚れて、情事にしけ込んでしまう。信じてた仲間の労働者のリーダーは裏の顔がある。
この『嘘』がいじわるな描かれ方じゃなくて、人生の一部として描かれてる所がとても印象的。綺麗事だけじゃ生きていけないし、美しい瞬間はひとときで終わる。時には嘘も方便になる。
純粋な世界を求めていた青年は苦い経験をへて、少し大人になりラーチ先生が行ってきた活動の意味を頭ではなく体で理解する。苦しい状況に立たされたり、将来に迷う時にまた観たくなりそうな映画です。いい映画でした。

ホーマー君のピュアさが楽しい。キングコングしか映画が見れなかったから映画と言えばキングコングと信じてるあたりとか
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