フク

8 1/2のフクのレビュー・感想・評価

8 1/2(1963年製作の映画)
5.0
映画を作る、という行為における苦労や困難について、スター監督であった当時のフェリーニが悪夢的幻想を交えつつ、かなり正直に忌憚なく告白したと思しき作品。
一本の映画作品についてあらゆる政治的決断を迫られる監督という立場の苦労と精神的重圧はいかばかりか。
それら精神的苦悩や葛藤のイメージをフェリーニにしか成し得ない魔法のようなカメラワーク、演出力によって芸術的高みに押し上げられ見事に具現化されていく。
人々が三々五々集まり、映画製作という祭りが繰り広げられ、そんな束の間の高揚感の内に閉じられるラストが素晴らしく美しくまた切ない。
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