ゆっきー

月は上りぬのゆっきーのレビュー・感想・評価

月は上りぬ(1955年製作の映画)
4.0
人の恋愛には口出せるけど自分のことになると上手くいかないもんだなぁ〜っていう映画。

全編通して小津の影響をひしひしと感じつつ、ジョン・フォードか??と錯覚する程の詩情があり、田中絹代のポテンシャルの凄みを感じるど傑作である。
が後半の、三女、杉葉子パートがダレるのが残念。前半で終わってたら★5献上レベル。尤も、前半で終わっていたら自分事になると上手くいかないって話では無くなるのだが…
(田中絹代の映画って後半ダレない?)

蓮實重彦が『溺れるナイフ』を評して、「火祭りのシーンが2回あるのはダメでしょ!」と語っていたが、本作で月夜を男女が歩くシーンを2回やるのもどうなのかと思ってしまった。

ただ、田中絹代の演出が凄すぎるのは確かである。
一見文芸調だが、ほぼアクション映画と言って良い。
そのくらいアクションつなぎが見事でありこれに関しては小津以上。アクションで繋ぐため役者が髪を解いたり着物を畳んだりしている。

また主人公達の住む屋敷の立体構造も作品の魅力となっている。これは美術の木村威夫大先生のお力なのかもしれぬ。

そういえば、チラッと出てくる田中絹代、家政婦の役で電話の練習するのだが、ここめちゃ笑える。
脚本の小津のユーモアセンスが現れたシーンだ。
ゆっきー

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