イワシ

月は上りぬのイワシのレビュー・感想・評価

月は上りぬ(1955年製作の映画)
3.8
後退りする北原三枝が安井昌二にぶつかった瞬間にロングショットにカットが変わる、この繋ぎが素晴らしい。慌てふためきながら三島耕に見つからぬよう門の両側に身を隠す二人の挙動の可笑しさといったら!善意と好奇心による恋路の後方支援がアクションとして描かれる前半部は文句なし。

杉葉子が着物の帯を解くのを雑談まじりに眺めながら北原三枝はストッキングを脱ぎ裸足の踵をポリポリと掻く。やがて両足を裸足へと解放すると姉の着替えを手伝うのだが、この一連のシーンはアクションとしか言いようがない撮影と編集で組み立てられている。

監督であり大女優でもある田中絹代に北原三枝が演技指導を施すというユーモラスなシーンがあるのだが、これ脚本を書いた小津安二郎と斎藤良輔によるジョークだろうな。
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