老人と猫のロードムービー。
老いの悲哀の中にも、とぼけた笑いとあたたか味を感じる作品だった。
NYの古いアパートに猫のトントと一緒に暮らしている72歳の老人ハリーだが、アパートがとり壊しになったため、独立した子供たちの家を訪ね歩くことに…。
ちょっと『東京物語』的なロードムービーだった。
決して子供たちに依存するではなく、自立した老人ハリーの生き方がカッコ良くて、理想的な老人像でもでもあった。
旅先で出会う家出少女、薬売りの老人、高級娼婦、ネイティブ・インディアン…、勿論トントや子供たちに対しても距離のとり方、会話術を心得てる。
ひょうひょうとした佇まいも良い。
どのエピソードも描き過ぎない、劇的な展開があるわけでもない。けれど、ポール・マザースキー監督の丁寧な演出とアート・カーニーの演技の上品さが静かな感動へと導く。
地味めながら、しみじみと味わい深い良作だった。
あと、茶トラのトントの演技しない自由さが猫らしくて可愛い。
因みに映画初主演となったアート・カーニーは当時56歳、アカデミー主演男優賞を受賞している。