南宮龍八

ふたつの恋と砂時計の南宮龍八のレビュー・感想・評価

ふたつの恋と砂時計(2005年製作の映画)
3.0
有名な児童文学小説「あしながおじさん」(ジーン・ウェブスター著)をモチーフに主人公の女性を優しく見つめた珠玉のラブ・ストーリー。いわゆる「難病もの」カテゴリーに入る作品だが、全体を通して包み込まれるような優しさ溢れる作品ではないかと思う。主人公ヨンミ(ハ・ジウォン)を見守る謎の「あしながおじさん」と切ないメッセージを書き残した人物探しというミステリー要素、ヨンミとジュノ(ヨン・ジョンフン)の淡いロマンス、そして韓流ドラマお得意の泣きのテイストを加味した欲張りな作品。引っ越してきたアパートでヨンミが発見するメッセージ内容を映像で見せるところが面白い。このメッセージを書いた女性(パク・ウネ)には秘かに想いを寄せる男性(ヒョンビン)がいる。そして女性は病気で失っていく記憶が残っているうちに彼に対するありったけの想いを残そうとするのだが病はどんどん進行して・・・つまりこの映像は劇中劇となっていて、ある人物がメッセージに込めた切ない想いを表現しているのだ。僕は本筋よりもこちらの話の方が面白く感じたのだが。果たしてこの切ないメッセージは一体誰が書き残し誰に宛てたメッセージなのか?というのがこの作品の謎解きのポイントになってくるのである。ヨンミが放送局に転勤になった理由、用意されていたアパート、未来へ宛てたEメール・・・ある人物がヨンミを10年間ずっと見守るだけの胸に秘める愛がなんとも切ないが「リメンバー・ミー」(2000)同様にそこがまた韓国映画ならではの恋愛美学なのかもしれない。

09/12/31
南宮龍八

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