みおこし

ひかりのまちのみおこしのレビュー・感想・評価

ひかりのまち(1999年製作の映画)
3.5
音楽映画『24アワー・パーティ・ピープル』が面白かったので、イギリスの映画監督マイケル・ウィンターボトムの代表作を鑑賞。

バツイチ&9歳の男の子と暮らしている長女デビー、ソーホーのカフェで働くウェイトレスの次女ナディア、もうすぐ出産予定の元教師の三女モリーの3姉妹。ロンドンを舞台に、性格も境遇も全く異なる3人の何気ない日々を描いたヒューマン・ドラマ。

きわめてイギリス映画らしい、全体に漂う物静かな雰囲気と淡々と進むストーリー展開、まるでドキュメンタリーを観ている感覚になるほどにリアルな役者さんの演技が心地よい秀作でした。冬のロンドンが舞台って、もうそれだけで情緒がありますよね…!
真剣交際できる彼氏を募集中のナディア、結婚して間もなく母になるモリー、離婚して子供もいるが男遊びしてばかりのデビーという、それぞれが異なった人生のステータスに置かれていて、恋愛においてぶつかる壁も全く違う3姉妹。違った個性を持ちながらも、”家族”として連帯しなければいけない場面は当然あるわけで、そのたびに価値観の相違が原因で衝突を繰り返します。罵声を浴びせながらも、心の奥底では繋がっていて、互いのピンチを助け合う姉妹の絆にホロリ。(もっと人間関係も複雑だし、ストレートな表現も多いけど)現代のロンドンにおける『若草物語』といっても過言ではないかも。

『ブリジット・ジョーンズ』シリーズや『ハリポタ』の嘆きのマートル役でも有名なシャーリー・ヘンダースンが奔放な性格の長女デビーを熱演。どの映画でも圧倒的な存在感ですが、強さと脆さを兼ね備えた独特の個性が光る本当に素敵な女優さんですよね。どの作品でも彼女の演技はいつもすごく印象に残りますが、本作の不器用なデビー役も素晴らしかったです。
多くを語らない次女ナディア役のジナ・マッキー、どこかで見覚えがあると思いきや『ノッティングヒルの恋人』でヒュー・グラント扮する主人公のお友だちで車いす生活を送っているベラ役の女優さんではないですか…!髪型や服装が今回ガラリと変わっていて、気づかなかった…。
この二人を筆頭に、イギリス映画界を支える個性派の俳優さんがそろい踏みした素敵な映画でした。『ハリポタ』のクィレル先生役のイアン・ハートが本作ではめちゃめちゃチャラくて笑いました(笑)。

はあ、大好きなロンドンに次に行けるのはいつになるのでしょうか…(遠い目)。
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