存在の耐えられない軽さの作品情報・感想・評価

「存在の耐えられない軽さ」に投稿された感想・評価

iceblue

iceblueの感想・評価

4.7
先入観があったので、まさかこんなに気に入るとは。共感ではなく、影響を受けたという感じ。そして物語に魅了されました。

冷戦下のチェコを舞台に、愛憎入り交じる不思議な絆の三角関係を描くドラマ。彼らの自由、幸福、愛を求める生き様はなかなか見応えがあり、すっかり引き込まれてしまいました。
三者三様の愛の形なのに、それぞれの目線で物語に浸ることができたのは、主役3人の圧倒的な存在感と演技力があったからこそ。
そして素敵だったのは、チェコ各地の素晴らしい映像美と物語をひきたてるヤナーチェクの音楽、文学的なセリフやモチーフの数々。すべてが揃って心に残りました。

長い作品ですが、万感こもるあのラストのセリフを是非聞いて欲しい。美しい余韻。ため息。
 
小説が先か映画が先か、ずっと迷っていた作品だったので、評価の高い小説の方もやっぱり読みたくなりました。
ジュリエット・ビノシュ好き!
non

nonの感想・評価

-
色々とテレーザに
イライラさせられるけど
まあ、こういうところが
可愛いんだろうね。

女にだらしなく、一見
軽薄に思えるけど
信念の部分では決して折れない
ダニエルデイルイスと
やはり自分のなかに
矜持をもっているサビーナすてき。
ミラン・クンデラの同名小説の映画化。
1968年プラハ。繊細なプレイボーイのトマシュ,純情で可憐なテレーザ,奔放でイケイケなサビーナ。三者三様の重さと軽さ。社会動乱や亡命を背景としたヒューマンドラマが重厚。
撮影監督はベルイマン作品でお馴染みのニクヴィスト。初めは美男美女とは思えない主要登場人物が次第に魅力的に見えてくる。鏡を使った濡れ場がよく語られるけど,動物描写など何気ないシーンも含めて品がある。ヤナーチェクの音楽と最後のLes Deux Guitaresもイカしてた。
R

Rの感想・評価

3.0
じめっとする感じの映画だった。

男女の価値観の違いうんぬんよりも
生き方そのものが違う二人が一点のみ交わって、その後は離れていくはずだったのかなと想像

ただの恋愛物ではなく、当時の時代背景も
描かれていて面白かった。


原作本も読んでみたいかも
Ryuga

Ryugaの感想・評価

4.1
 ミラン・クンデラの同名の小説を映画化した作品。原作未読。3時間近くあるが、冗長さは特に感じなかった。
 当事者性のようなものを持ち合わせていない私がこの作品で描かれていることについて何かもの語ることには得もいわれぬ罪責感のような感情であったり、発言することそれ自体が憚られるようなうしろめたさを感じるが、それに抗って書く。書きたいことを書く。
 ドプチェク指揮下のプラハの春、そしてチェコ事件を経験し、動乱を生きた人々の日常を描いた群像劇といったところか。シュマヴァと思われるシーンもあった。色が失われていく映像であったり、仮象として解釈される麁陋でドキュメンタリーチックな映像を交えた表現は素晴らしかった。共産党を除名されたクンデラの作品であるからかもしれないが、やはり、単にプラハの春を「修正主義」と断ずることは難しい気がする。クラブと思しき場所に流れるThe Beatlesの”Hey Jude”とジュネーヴで行われた亡命者の議論が印象的だった。メフィストとカレニン。
 テレーザの顔。なぜ、テレーザがひどく幼く見えるのだろうか。なぜ愛について、人生について重く受け止めているはずのテレーザが弱く、儚げな存在として眼に映るのだろうか。存在について思案を巡らしているはずの彼女が、時に非常に朧げで希薄な存在に見えるのはなぜだろうか。愛や人生を重く受け止めているはずのテレーザの言葉が、なぜか一番軽い印象を受けてしまった。実存が危うい。特にジュネーヴにおける彼女はオイコスの領域に閉じ籠っている、あるいは閉じ込められているように思えた。この辺りからきているのだろうか。軽さに耐えられないということの軽さ。私の前に現象してくるこのアポリアよ。
「美を発見できる唯一の場所は、迫害者が見逃したところだけ」
 サビーナと鏡。部屋に置かれた鏡が、言葉自体が持つ虚偽であったり、存在者に対して意味を付与することの虚構のようなものを強く意識させる。存在に、人生に、愛に重さなどあるのだろうか。一回きりの人生。現在において「ここ」にしか存在し得ないもの。根拠はどこか。スキゾ的生を生きるサビーナがとても痛快だった。

 人の生に重さも軽さもないのかもしれない。人の生に意味化を求めるな。生を考える上で想起されるトマシュのオイディプス論と、最期。予めそれを計算した上で、作品に自己破壊プログラムのようなものを盛り込んだのか。オイディプスは現象してくる事実を見ないために自らの目を、当為として潰した。それが与り知らぬことであってもだ。ただ現実それ自体を受容することしかできないのではないか。テレーザの言葉がとても空虚に聞こえるのは、彼女が意味を求めすぎているからだろうか。私が意味化に倦んでいるからだろうか。あまりにも存在と言葉の乖離が大きい。生に意味化を求めても、死は突然として誰しもにやってくる。このア・プリオリが忘れられてはいやしないか。それは虚無に陥らないためか。人と人の間に絶対的に在る空虚を認めたくないがためか。

生きよ堕ちよ。
「人間は生き、人間は堕ちる。」
安吾の堕落論がやってくる。初めから分かっていたんですよ。

 トマシュと善魔、あるいは悪魔。こっそりと潜り込む悪党。共産主義社会においてインテリゲンチャが自己批判を強いられ、懊悩する辺りは『テザ』を彷彿とさせる。その結果も似ている。多分に洩れずトマシュについても様々な問いが想起される。あまりにも問いかけが多いこの作品において、その問いの全てをここに示すことは困難だろう。しかし、トマシュに関する全ての問いに対する答えは、この一言に集約されるだろう。
「ライフセーバーやから。」


 原作も合わせて読みたい。
動物

動物の感想・評価

3.5
「COLD WAR あの歌、2つの心」を見て思い出した。冷戦下の東欧であり、恋愛であり、そして「COLD WAR」同様、タイトルのことを描いた(主題なんだから当たり前だが)作品だったんだなあと今さらやっと分かった。ジュリエット・ビノシュは本作の可憐の頂点からの女優キャリアの進化だから、なんてすげーと感心した。応援します。
sugar708

sugar708の感想・評価

4.0
相手に「こうあって欲しい」と何かを望んだり「私はこんなに愛しているのだから」と見返りを求めたりと、お互いの考え方や価値観の違いで悩むという恋愛の永遠のテーマを取り扱った作品でした。

個人的にはその距離感やギャップを埋めていくことこそが醍醐味の一つなのかなと思ったりもするのですが。

個人的にはカレーニンのシーンのが印象的で、先述の通り相手に様々なものを望み、求めてしまう人間ですが犬はそんなことは何一つない、そういう意味で彼らは真の愛情を持っているのだなと考えさせられます。

一見、ただの遊び人ですが本当は人生の選択を間違えたくない臆病な一面を持ち合わせたトマーシュを若き日のダニエル・デイ・ルイスが好演していて素晴らしいです。

一緒に生きる人間に影響を受けて変わるものもあれば、変えられない性分もある。
時代にも翻弄されながら辿り着いた二人の人生が心の底から幸せであったことを願ってやまない作品です。
タイトルの意味途中で分かる
喋らせすぎかもしれない。小説じゃないんだから。
>|