幸か不幸か、この時代のこの土地に生まれなくてよかった。。
そう考えてしまう自分に卑近さを感じてしまう。
シンゴジラの庵野秀明監督のベストフィルムということで鑑賞。
「日本の一番長い日」で描ききれなかった、市井の民を真摯に描いている。
特攻隊が出撃するたびに、隊員の詩歌や手紙が混えられ、感傷を誘い、アメリカの手は容赦なく迫る。
生き残ろうとするもの、戦うもの、助けるものみな全て死ぬ。
セリフで語らぬとも、仲代達矢の表情から顔色が無くなり、髭が伸び放題になるだけで、戦局が悪化しているとわかる演出も見事。
だが、悲しい場面で必ずしも悲しいBGMは流れない、明かるげな中にある恐怖。
喜劇的要素も交える岡本喜八イズム炸裂。
戦後世代・平成以後の世代には決して作れない快作だろう。
涙も感動もない。
なぜ彼らは死ななければならなかったのかそれだけが頭をもたげ、沈鬱とした気持ちになった。