喜連川風連

激動の昭和史 沖縄決戦の喜連川風連のレビュー・感想・評価

激動の昭和史 沖縄決戦(1971年製作の映画)
4.6
幸か不幸か、この時代のこの土地に生まれなくてよかった。。
そう考えてしまう自分に卑近さを感じてしまう。

シンゴジラの庵野秀明監督のベストフィルムということで鑑賞。

「日本の一番長い日」で描ききれなかった、市井の民を真摯に描いている。

特攻隊が出撃するたびに、隊員の詩歌や手紙が混えられ、感傷を誘い、アメリカの手は容赦なく迫る。

生き残ろうとするもの、戦うもの、助けるものみな全て死ぬ。

セリフで語らぬとも、仲代達矢の表情から顔色が無くなり、髭が伸び放題になるだけで、戦局が悪化しているとわかる演出も見事。

だが、悲しい場面で必ずしも悲しいBGMは流れない、明かるげな中にある恐怖。

喜劇的要素も交える岡本喜八イズム炸裂。

戦後世代・平成以後の世代には決して作れない快作だろう。

涙も感動もない。
なぜ彼らは死ななければならなかったのかそれだけが頭をもたげ、沈鬱とした気持ちになった。
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