Narmy

二つの世界の男のNarmyのレビュー・感想・評価

二つの世界の男(1953年製作の映画)
3.3
第2次大戦後の東西ドイツの分裂。
鉄のカーテンに象徴される東西陣営の冷戦時代。
その真っ只中のベルリンが舞台。

主人公スザンヌ・マリスンはイギリスから英国軍医である兄マーティン・マリスンが駐在しているベルリンを訪ねる。
空港から現地の子供につけられたり、義姉の様子に違和感を感じたり、義姉の古くからの友人イーヴォ・カーンが突然現れたりで何かが起こりそうな不穏な空気満載。

意外にも身分証さえあれば簡単にベルリンと東ドイツを行き来できる。
東ドイツでオペラの観劇ができたりとか、一見平和を感じる。
ただ、その裏ではお互いのスパイ活動がかなり活発で危険。
今作でも西側のスパイは東のもの達の亡命の手助けをしたり、重要書類を盗んできたり。。
子供もスパイ活動の片棒をかついでいるのは見ていて心が痛むなぁ。

スザンヌはベルリンと東ドイツの状況に無知なまま来ているので、観ている私達も一緒に一つ一つこの地で起こっている現実を知っていく。。

設定としては、とても興味深いんだけど、途中なかなかスザンヌの気持ちが読めず、!?というシーンが多いのと、後半は恋愛のほうに重きがおかれているようで、少し緊迫感が途切れがちだったかな。

斜めに映し出す映像はこの地の不安定さを演出していて、戦争の不条理さを感じる。
法が機能しない無秩序な世界かぁ。。

戦争とは?平和とは?
“安らげるところは財産”という言葉が心に染みる。。
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