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二つの世界の男のtapes201のレビュー・感想・評価

二つの世界の男(1953年製作の映画)
4.7
1952年作にして、あまりに生々しい戦争の傷跡を残すベルリンロケ。ベルリン封鎖が1948年、スターリンの死去が1953年、ベルリンの壁が1961年。導入部からいきなり不穏な感じが横溢。ライムライトのクレアブルーム様が、如何に、軍医の妹で、初ベルリンとはいえ、呑気に東に行きたい!とか、知り合いの情報漏らしたり、あまりにオープンで屈託がなくて大丈夫かよ!とかイラつきながら観てたんすが、中盤以降、俄然緊張感が増してきた。然し乍らイーヴォを嵌め損なった直後に一人で外出させる、ってのはどうかと思うし、また、拐った後、間違いで、ってのも、今の感覚では腑に落ちないかな。まあ、国際問題になる、ってセリフもあるし、そんなことに乗じたり、付け込んだりして簡単に戦争はくりかえされてきたんだけれど。でも脚本はあの、『情婦』のハリー・カーニッツ御大。流石に中盤以降、気骨溢れる名ゼリフ連発。鬱陶しかったクレア様が、逃走中に被弾した男を介抱しながら、イーヴォがこの隙に逃げろ、みたいなことを受けて吐き捨てる"役に立たない者は見捨てるの?"という下りから俄然輝きを増してきた。俺個人そんなこと思わないだろうことは確実なのに。リード御大お得意の斜め構図大炸裂、邪魔者は殺せに続くジェームズメイソン御大の名演も含め、細部に至るまで気の配られた一品。ラストに至る下り、切なかったなあ。しかし、映画は興行で、資本主義の賜物である限りやはり、縦軸には必ず惚れた腫れたを組み込まないといけないわけですが、そこ以外も俯瞰して如何に不毛の歴史の上に現在が成り立っている、それもとんでもなく奇跡的なバランスで、ということを認識していられる人間でいたい。それを語る上で惚れた腫れた、というのは不可欠で、それこそ人間の本道なんだ、ということも。あまりに、幼稚で馬鹿げたことばかりの浮世だけど、第三の男は戦争に乗じた個人の欲望の話、これは、戦争によって分断され粉砕された人々の話、ということか。生意気つらつらすいませんでした。四十男の鬱屈した夜明けの戯言、ということで、爆。
『二つの世界の男』キャロル・リード/英/1952
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