カトキチ

肉屋のカトキチのレビュー・感想・評価

肉屋(1969年製作の映画)
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小さな島を舞台にひとつしかない学校の女校長先生が主人公。たまたま同僚の結婚式である男と知り合うのだが、彼は戦争にいっていて、実家の肉屋を継ぐために故郷に帰ってきたばかりだった。ふたりは惹かれあうが、しばらくするとその小さな島で陰惨な殺人事件が起きてしまう……

横溝正史は人口が少ない村でミステリーをやるのは不可能だと語り、それの挑戦として『八つ墓村』を書いたと言われているが、この『肉屋』という映画もシチュエーションは一緒で、ミステリーというよりはどちらかというと「もしかしたら私が好きになりかけてる人が殺人犯かもしれない……」という疑心暗鬼を中心に描いていく。

同じようなことを書いてる人がいたが、まさにヒッチコックがやりそうなことをブレッソンのごとく、最小限のセリフと最小限の演出で紡いでいく。そういう作品。派手さは無いがリアルでキャラクターの内面が浮き上がってくるかのよう。

『不貞の女』もそうだったが、前半がややかっタルい。それを後半の対比として、緊張と緩和の緩和として使ってるんだと思うが、そのフリの長さを楽しめるかどうかで評価はハッキリと分かれるだろう。
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