シネフィルmonk

肉屋のシネフィルmonkのレビュー・感想・評価

肉屋(1969年製作の映画)
3.7
この当時、夫婦であったシャブロルとオードラン監督、主演のサスペンス。タイトル名が肉屋とあるように、これが映画のキーワードとなる。フランス南西部の片田舎の小学校の若き女性校長を務めるエレーヌは、同僚教師の結婚式の宴席でポポールという男と偶然隣り合い、以後次第に親しくなる。彼は兵役を終え、故郷の肉屋を継ぐために戻ってきたのだが、新鮮な肉を届けたり、彼女に心を寄せる。

エレーヌは辛い失恋の過去を引きずり、彼は亡き父親のことを嫌っている。心にトラウマを背負う二人の仲は恋愛に発展するかに見えたのだが、これを裏切るように近隣で少女や結婚したばかりの同僚教師の若妻など惨殺殺人が相次ぐ…。直接的な残酷描写はほとんどないが、子供たちとピクニックに出掛けた際に崖の上から血がしたたり落ちる不穏な演出と音楽など、フランスのヒッチコックの異名をとるシャブロルならではのエッセンスがちらばめられた作品でした。
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