神経質で捻くれた性格のロジャーの行動や言動には部分的に私と重なる部分もあって、自分を見ているかのようだった。でも自分と似ているからといって、親近感が湧くわけでもなく、逆にすごく嫌悪感があった。自分って他人からはこんな風に見えているのかもしれないと思うと何だか気持ち悪い。物事の悪い面しか見れなくて、良いことも全部都合の悪い方に捉えてしまう。フローレンスのように自分を肯定してくれる人に出会えても、素直になれずちょっとした苛立ちも抑えられない。せっかく周りに恵まれていても自分が変わらないと何も変わらないんだなって。若者を疎ましく思ったり、羨ましがったり、不恰好な面倒くさい大人を観られたのは励まされる反面、このままではいかんという戒めにもなりました。でもこういう笑えない惨めな大人にも救いの手を差し伸べてくれる作品の偉大なる優しさにはこのまま甘えていきたいと思います。拝啓、ノア・バームバック殿。「ブサイクなブラ」
